かくしごとのレビュー・感想・評価
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子供を保護するのに、どうして正規の手続きを踏まないのか?
この手の映画を観て、いつも疑問に思うのは、法を犯さなければ、子供を虐待から救い出すことはできないのか?ということ。
その点、本作では、飲酒運転による人身事故を隠蔽するためとか、少年の体に虐待の痕跡があるからとか、その子が記憶を失っているからとか、主人公には事故で息子を失った過去があるからとか、主人公の不法行為に説得力が感じられるような、いくつもの理由が用意されている。
ただし、いくら道義的に正しい行いであったとしても、虐待されている子供を勝手に保護することは、法律上、未成年者略取や誘拐に他ならない。
多少、手続きは煩雑になるかもしれないが、虐待を受けていることが明らかならば、その子を実の親から引き離して、「里子」として引き取り、面倒を見ることは可能なのではないだろうか?
そもそも、保険を使わなければ病院には行けるだろうが、学校には通わせないつもりだったのだろうか?
そんなことを思いながら、疑似親子の幸せな日々を見ていても、いつかバレるに違いないと、悲劇が起きる予感しかしなかったし、実際にその通りの展開になって、興醒めしてしまった。
認知症の父親の介護という、物語のもう一つの柱にしても、風呂場で父親の体を洗いながら主人公が涙を流すシーンはあるものの、それだけで2人が和解し合えたとはとても思えず、どこか不完全燃焼のまま終わってしまった感じが強い。
結局、強引に悲劇と感動の物語に持っていこうとする「作為」が最後まで鼻についてしまい、杏の、実際に子供を持ったからこそと思える気持ちのこもった熱演も、ラストの、少年によるトドメの一言も、あまり心に響かなかったのは、非常に残念だった。
思っていたようなストーリーではなかったので
サスペンス映画を期待していたオイラには残念な結果に。
それは抜きにしても児童虐待と介護問題の2つを題材にしたこの作品だが、どちらかというと痴呆症の親の介護問題の方に重点があるような感じに思った。映画のラストで涙するとの事だが、他のレヴュー等を読ませていただくと、実は原作は、その直前にまだまだ、ストーリーがらある?ようで、そちらの逆転劇を映像化して欲しかった。さすれば、よりオイラにとっては高評価に、なったかと思う。
というわけで2つのストーリーがどちらも中途半端になってしまったような作品に感じてしまった。
かくしごとをしていたのは
最後に明かされた隠し事で、原作の「嘘」ではなく、かくしごとにした訳が分かる。たくさんの隠し事があって、前半はモヤモヤした気持ちになる。ただ、介護に児童虐待にシングルマザーに子を失った母と、いろいろな要素があり過ぎて、2時間では収まり切れなかった。そのため千紗子が子供を匿ったことや父親の介護をすることに共感できなかった。裁判のシーンが短すぎて、千紗子の心情を明らかにできていない。警察よりも父親が先に子供を見付けるのもあり得ない。また、奥田瑛二以外の出演者がみんな、きれい過ぎる。主役が親子共演で安藤サクラだったらと思う。
真実とは
たぶん自分が思いたかった事なんでしょうね。
介護✖️虐待、役所の福祉担当かと思いました。
仕事で虐待を隠す親と関わった経験がありますが、いろいろ地獄でした。
もっと優しい社会になりますように。
家族とは?血のつながりとは?
歪んだ愛に翻弄される息子が不憫で仕方なかった、男達と行きずりの関係を繰り返す、毒親まさみんの「MOTHER」
不倫相手の赤ちゃんを誘拐し、自らの子として育てる、永作ちゃんの「八日目の蝉」
擬似家族の、幸せだが犯罪を繰り返す日常を描きながら、血のつながりとは?絆とは?大いに問いかけられた、リリーさくらの「万引き家族」 etc...
本作と似た様なテーマを、日本の名監督達も扱っているほどですから、やはり、メッセージは強烈です。
家族って?血のつながりって?と、
毎度毎度考えさせられ、そして答えが出ないのです。
趣里ちゃんの〝生きてるだけで疲れちゃうんだぁーー!!〟でお馴染み(?)「生きてるだけで、愛。」の関根光才監督が脚本も手掛けた本作。
前作未読。知りませんでした。
東京で暮らしていた絵本作家の千紗子(杏ちゃん)は疎遠だった父・孝蔵(奥田さん)が認知症で徘徊をするようになったと連絡を受け、渋々田舎に戻る。
幼馴染の久江(佐津川さん)と呑んだ帰り道、飲酒運転の車に同乗。少年と接触事故を起こしてしまう。
シンママで公務員の久江は事故がバレるのを恐れ、警察に通報するのを拒む。千紗子も仕方なくなり、少年を父が住む実家に連れて帰る。
少年を手当てをしていると、明らかに事故で出来た怪我ではない、虐待の痕跡を発見。意識を取り戻した少年は記憶も失っていて。。
過去に自分の息子を海の事故で亡くしていた千紗子は、この少年を親の元に返す気になれずに自分の子・拓末として育てる覚悟を決める。
理由はあれど、千紗子は少年を「誘拐」し
「洗脳」している。
行動だけ見れば犯罪者なのだ。
ここまでは、これまでにもあった作品に似ていたりするのだが、
「認知症の父」という血のつながりのある家族の存在も重要なテーマに組み込まれ、今までとは少し違った角度の視点も加わっていた。
構成として「虐待されている他人の子」と
「認知症の父」の2本柱が同じボリュームで描かれているため、どちらのパートに心動かされたかによって、見え方が変わる作品だったと思う。
私はファザコンなので(爆w)
孝蔵パートは、色々と、考える所がありました。。
父もこれから確実に老いて行き、認知症になるかもしれない。
ならなくても、身体も思い通りに動かなくなるし、忘れっぽくもなるだろう。
今まで簡単に出来ていた事が出来なくなる焦りや苛立ち。怒りっぽくなる老人も多いと聞く。
病気にならなくても不安なのに、認知症になった孝蔵の、言葉では伝えられない苦しみが、見ていて本当に辛かった。
だから、病気の父親に対して嫌悪感丸出しの千紗子の対応には若干引いてしまった。
2人の溝が決定的になった過去が明かされてからも、もうちょっと優しくしてあげて〜泣と思って見ていた。
でも亀田先生(酒向さん)が優しい!!
千紗子に認知症への理解を促す件り、仏像を彫っている孝蔵にかける、仕事中にごめんね、と気遣う言葉。さり気なくコンパスを取ってもらう流れ。。
子供の頃からの友人であり、主治医であり、孝蔵の1番の理解者。
本当に心強い存在でした。
と、奥田さん、酒向さんの、演技を超えた演技に心鷲掴みにされ、熱く語ったのですが、、
やはり、千紗子と拓末(洋一)パートに重きを置いて欲しかったかな。
拓末の笑顔に胸が張り裂けそうになった。
3人で過ごした時間は短かったし、介護の大変さもあったけど、かけがえのないものだったはず。
しかし長くは続かない、、と、皆わかっていただろうから余計に辛い。
(粘土アートが泣ける。)
だけど、これからの拓末(洋一)の人生を思うと、もっともっと、幸せの更新をしていって欲しいと願わずにいられない。
全ての子供には安らげる場所を。。
虐待なんてされている子供はいなくなれば良い。
みんな笑って暮らして欲しい。
衣食住の心配をせず、毎日元気で過ごして欲しい。
虐待している奴は◯ねばいい。
確かにリアリティ不足な部分も多い。
(挙げたらキリがない程にw)
だからこの作品は、どれだけ引っかかっても目をつぶれるか、、で、鑑賞後の感想が変わってくるから!
ある意味、上手くスルーして、一生懸命観て下さいw
あんつん大好きなのに、あの目の奥に
存在する狂気の演技が怖くて怖くて苦手になりそうだった(°▽°)
結局千紗子が全部引き受けてしまうのか?と、やり切れない思いがまとわりついていたのだが、
ラストシーン。
拓末、凛としていて、強かった!泣
がんばったね!!泣
理由がもうちょっとしっかりしてれば
所々いいシーンはあるけど、こどもと一緒に居続ける理由に納得がいかなく、
「大人としてもっといい判断できるでしょう」が頭をよぎる。最後のかくしごともただのグルーミングの結果じゃん!って思ってしまった。性別が逆でおっさんが女児をたったらみんな気持ち悪いと思うはず。父親との関係は良かったです。
現代日本の家族問題総ざらい
「怪物」のときも感じましたが、この「かくしごと」は現代日本の家族問題を総ざらいしているように思いました。独居ボケ老人介護、シングルマザー、継父による児童虐待・・・ついでに飲酒運転(笑)もうね、お腹いっぱいになるくらい、日本が抱えている問題をあぶり出します。結局一番弱い老人と子どもが被害者になるって感じなのですが。
確かにヒロインの取った行動は問題があり、もっと問題なのは飲酒運転をし、子どもにぶつかってしまった公務員のシングルマザーです。ただ、この二人の女性の行動が問題があるにせよ、画面を明るく元気にしてくれるわけです。
私はこの作品はハッピーエンドだと思います。彼の証言がヒロインの苦悩を一筋の涙として洗い流してくれたと思います。話の展開として、いろいろなことを想像しましたが、「あの場面」でボケた父親が手を下すものだと思っていました。ボケ老人のせいにするという安直な道を選ばなかったことが良かったです。
ただ文句があるとするならば・・・タイトルですね(笑)
もう少しなんとかならないものだったのかな?
手を差し伸べてもらいたいなら、手を伸ばそう。
ふぅ~~(ため息)
観ているさなか、こちらの心をざわつかせる作品だったようで、エンドクレジット中に思わずため息が出た。
手放しで褒められるような、誰彼無しに推奨できるような物語ではないと感じた。
それでも作品中に散りばめられた良心のようなもの、これが不思議とサブリミナル効果のように鑑賞後の気持ちを落ち着かせてくれた。
この作品を通して描かれる、主人公・里谷千紗子の心境。
度胸はあっても勢いによるそれ、芯は決して強くない女性のように映ったが、さて。
強そうにみえるようで、彼女は孤独、孤独、孤独。
子を失った、孤独。
別離。
仕事のプレッシャー
父……
数年ぶりと思しき、理由付きの里帰り。実は今や唯一の肉親である父親に、自らの孤独を埋め合わせたい気持ち、あったのではないか。しかしそれは叶わない。認知症の症状に苛立ちを隠せない千紗子の振る舞いは、まるで甘えたいのに甘えられない、場を奪われた我儘、駄々をこねているように見えた。
そこで、現れた少年は、失った過去の存在のリンクもあったようだが?本当は母性フィルターを通して自らの孤独を埋めたい、そんな「自分へのベクトル」の方が強かったのだとおもう。少年への母性だけであれば、虐待から守るにしても、取るべき行動は違ったはずだ。あくまでも自分のための、母性の振る舞い。
だったはず。というところが、この作品のクライマックス。
少年に対する母性はいつしか真実のそれに変わり、同時に父親の認知症を「受け入れていく」千紗子の心の成熟が、非常に良い見どころであった。
少年が実父を刺殺。それを極めて冷静に自らの罪にして守ろうとした姿で端的に表現していく。そこまでしなければ伝わらないような映画ではなかったはずだが、真のラストシーンのためには必要な事象だし、それは映画的。仕方ないと感じながら観ていた。
上記のように一枚剥がしてこの作品を観ていたため、大ラスの少年の告白は「やっぱりそうか」といったところだった。彼がまるで大人のように、千紗子の嘘を受け入れていた事実は、ミステリというよりは千紗子の成長物語である本作の答え合わせのようなシーンだった。(※あくまで個人的見解です。と思っていたらEXITりんたろー。氏が似た感想を持っていそうで驚いた)
介護問題、子の虐待。そして少子化。
親と子の関係が正しくいられない異常な社会。
誰もが身につまされる社会問題の解決の糸口は、果たして本作には有っただろうか。
***
”杏のこと”を見ようか”杏のしごと”を見ようか迷った挙げ句、先に”ごと”を観たわけだが合せ鏡のような、いずれも社会問題テーマであり、なんだか暗い邦画が続いている。現代日本の閉塞感を現しているかのよう。
本作での女優:杏の静かなる熱演。元気いっぱいにCM出演していた頃の彼女の雰囲気はどこに行ってしまったのだろうかと思うほど。彼女のプライベートを伺い知っている我々からすると、どうしても錯視効果があって応援したくなってしまう。もちろんそれを理解した上での出演とおもうが、それはそれで覚悟が必要だったのではないか。
その気持ちに★1プラス。お疲れさまでした。
杏のこと。ラストのあの人の表情が忘れられない
原作未読。こういう映画が観たかったんです。
千紗子(杏)は2つの問題を抱えることになります。
1つは千紗子の父である孝蔵の認知症の介護についてです。中盤に孝蔵の言動に対して、千紗子の気持ちに変化が起き、思わず泣きそうになり感動しました。
もう1つが拓未についてです。ラストで千紗子の気持ちに変化が起き、非常に衝撃と感動が走りました。
認知症患者との接し方や子どもの育て方の参考になり、文学的で秀逸な映画であると感じました。
杏さんと奥田瑛二さんの演技が本当に素晴らしかったです。
君と私の為。
疎遠だった父の孝蔵が認知症を患い実家へ戻る事になった絵本作家里谷千沙子の話。
地元の友達で福祉課で働く久江と再会、その夜、久江の車で飲みに…、運転代行着くまで1時間と久江の息子絡みで急遽飲酒運転して帰ることに…、話に夢中なった道中、1人の少年を車で跳ねてしまう、公務員、シングルで息子と飲酒がばれたくない事から、救急車は呼ばず千沙子の実家へその少年を連れてく事に…、体に怪我は無いかと服を脱がすと事故で出来た傷ではなく虐待の傷跡が…。
何処の子供と分からないなか、流れてきたニュースで知る少年の名前、捜索してると分かってても虐待の傷を見ると、両親の元へ返して子供の為にホントにいい環境なのかと、久江の反対する言葉も振り切り、自分で育てようと…、話の展開が展開なだけにハッピーエンドは無いなと思いながらも。
どんなに拓未にとっていい環境であっても誘拐扱いという日本の法、どんなに不利であっても親身になってくれる町医者の亀田先生くらいには話をしておけば少しは気休めになるんじゃない何て思った。
血は繋がらなくても千沙子といる拓未は幸せだったと思うし、最初から全て分かってるんだろうなと拓未の気持ちは察しはついたけれど、ラストの「僕のお母さんはあの人です。」で拓未が千沙子へ送った視線にはやられたね。(涙腺崩壊。)
その言葉を言って切った様に終わる終わり方も個人的には良かった。
家族愛
田舎での千紗子と父親と少年の3人のゆっくり流れていく幸せな時間をずっと観ていたいなと思いました。事故で息子を亡くした千紗子の少年を見る優しい表情と裁判所で少年が千紗子をお母さんと言い切る真剣な眼差しが印象的でした。
心に刺さって苦しい。
主人公の千紗子に自分を重ねながら鑑賞した128分。
貴方ならどう思うか?
貴方ならどうするか?
本作が終始揺さぶりをかけてきて色々考えさせられる。
それが罪なのか?
それとも愛なのか?
答えは人それぞれ違うのかもしれないけれど…
平穏で当たり前な日常と小さな幸せを守れる世界が来ますよう祈らずにはいられなかった。
拓未くんの真っ直ぐな澄んだ瞳が忘れられない映画。
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