「ムーンライト」はカンヌに輝く“あの名作”にオマージュ!バリー・ジェンキンス監督が明かす

2017年4月6日 09:00


アジア作品からの影響も多々
アジア作品からの影響も多々

[映画.com ニュース] 第89回アカデミー賞で作品賞、脚色賞、助演男優賞に輝いた「ムーンライト」(公開中)のバリー・ジェンキンス監督が、作品に込めたオマージュについて語った。

ブラッド・ピットが製作総指揮を務めたヒューマンドラマ。米マイアミの貧困地域で孤独な生活を送る黒人少年シャロンが、自分の居場所を求めてさまよう姿を幼少期(アレックス・ヒバート)、少年期(アシュトン・サンダース)、青年期(トレバンテ・ローズ)の3つの時代構成で描きつつ、幼なじみの親友ケヴィンや麻薬常習者の母ポーラ(ナオミ・ハリス)との関係の変遷を見つめる。

ジェンキンス監督は、本作で鬼才ウォン・カーウァイ監督の「ブエノスアイレス」にオマージュをささげたと語る。同作は、第50回カンヌ国際映画祭(1997)で監督賞を受賞した男性同士の恋愛ドラマ。同作で印象的に使用された楽曲「ククルクク・パロマ」が「ムーンライト」でも重要シーンで流れており、明確な意図が感じ取られる。

「この選曲はあえて意図したものだ。同じ曲が『ブエノスアイレス』でかかっていて、これは直接的なオマージュなんだ。ブラック(青年期のシャロン)の車がハイウェイを走るシーンの撮影の仕方まで、『ブエノスアイレス』と同じにしている」と明言。さらに、「『ブエノスアイレス』を初めて見たときのことは鮮明に覚えている。僕にとって、初めて見る同性愛を描いた映画だった。『ブエノスアイレス』は僕にたくさんのことを与えてくれたんだ」と同作から受けた影響の大きさを語っている。

また、「具体的にオマージュをささげているのは『ブエノスアイレス』だけだが、他の映画の存在を感じられるはずだ」と語り、「ムーンライト」の製作準備期間に参考にした作品にホウ・シャオシェン監督の「百年恋歌」、チャールズ・バーネット監督「Killer of Sheep」(日本未公開)、クレール・ドゥニ監督「美しき仕事」などを挙げている。

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