スキャナー・ダークリー : 新作映画評論

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新作映画評論

スキャナー・ダークリー スキャナー・ダークリー 12月9日よりシネセゾン渋谷ほかにてロードショー

ディック小説の真髄を映像化した初めての作品

画像(C)2006 Warner Bros. Entertainment Inc.

これまでのフィリップ・K・ディック原作の映画化作が目指したのは、原作の真髄の映像化ではなく、原作のSF的発想と小道具を使って独自の物語を描くことだった。「ブレードランナー」も例外ではない。が、初めてディック小説の真髄を映像化しようとする映画が登場、しかもそれに成功してくれた。

70年代初頭、ディックは鬱病が悪化して覚醒剤を常用、妻にも去られ、自宅は若いドラッグ常用者達のたまり場になるが彼らは次々に麻薬に倒れる。ディックが死んだ彼らに捧げて書いたのがこの原作。麻薬の囮捜査官は自分自身を捜査する指令を受けて自己崩壊していく。彼を利用するのは敵だけではない。

現実と監視機に映る映像のどちらが真実なのか判別不能な世界像も、SF的小道具スクランブル・スーツも、監督の前作「ウェイキング・ライフ」と同じ実写映像を線画アニメ化する手法で、原作通りの映像化に成功。そして何より、ディックの静かなユーモアと、敗れていく者への愛に充ちた感傷的ともいえる眼差しが、原作同様、全編に満ちている。

ちなみに映画ラストの「献辞」は原作後書きの引用。多数の死者の名に続く「フィル 不治の脾臓障害」とは原作者自身のことだ。

平沢薫

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ABOUT THE MOVIE

  • スキャナー・ダークリー 画像1
  • スキャナー・ダークリー
  • 「ブレードランナー」「トータル・リコール」「マイノリティ・リポート」など、多くの著作が映画化されてきたSF作家、フィリップ・K・ディックの77年作「暗闇のスキャナー」をリチャード・リンクレイター監督が02年の監督作「ウェイキング・ライフ」同様に実写映像にデジタル・ペインティングを施し、アニメ風に映像化。近未来のアメリカ・カリフォルニア郊外を舞台に不毛な麻薬との戦いを続ける覆面麻薬捜査官の虚実入り乱れたドラマが描かれる。
  • 原題:
    A Scanner Darkly
    監督・脚本:
    リチャード・リンクレイター
    製作総指揮:
    ジョージ・クルーニー、スティーブン・ソダーバーグ
    製作:
    アン・ウォーカー=マクベイ、トミー・パロッタ
    原作:
    フィリップ・K・ディック
    撮影:
    シェーン・F・ケリー
    編集:
    サンドラ・アデア
    プロダクション:
    ブルーム・カーティス
    デザイン:
    ブルーム・カーティス
    出演:
    キアヌ・リーブス、ウィノナ・ライダー、ロバート・ダウニー・Jr.、ウッディ・ハレルソン、ロニー・コクレイン
    製作国:
    2006年アメリカ映画
    上映時間:
    1時間40分
    配給:
    ワーナー・ブラザース映画
  • 12月9日よりシネセゾン渋谷ほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)2006 Warner Bros. Entertainment Inc.

スキャナー・ダークリー

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