敬愛なるベートーヴェン : 新作映画評論

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新作映画評論

敬愛なるベートーヴェン 敬愛なるベートーヴェン 12月9日よりシャンテシネほかにてロードショー

偉大な楽聖の心の奥底、そして創作の神髄に迫った力作

画像(c)2006 Film & Entertainment VIP
Medienfonds 2 GmbH & Co. KG

ベートーべン晩年の大作「第九」完成の裏には、ひとりの若い女性の尽力があった……。そんな創作秘話の形をとったこの映画は、その設定自体がフィクションであり、伝記ドラマとしても決してオーソドックスな作りにはなっていない。ところが、これが実に見応えある力作なのだ。情に流されないシビアな演出に定評あるポーランドの名監督アニエスカ・ホランドが、作曲家の楽譜を清書する写譜師(コピスト)であるアンナという架空のヒロインの目を通して、偉大な楽聖の心の奥底に迫った。

映画のハイライトは中盤に配置された「第九」の初演シーン。アンナが“影の指揮者”となって難聴のベートーべンをサポートするこのシーンでは、両者の視線と身振りが「第九」の旋律の高ぶりに呼応するかのように絡み合い、その得も言われぬ陶酔感がひしひしと観る者に伝わってくる。ぜひとも劇場で体感すべき名場面である。

しかしこの映画で描かれるふたりの結びつきは、男と女のそれではなく、あくまで音楽の求道者たる師弟の絆である。アンナは極めて聡明な女性だが、作曲家としての才能はベートーべンの足元にも及ばない。それでもアンナはベートーべンの孤独な魂に触れ、彼の創作の神髄を知る。楽譜をコピーすることが職務だったはずのアンナが、図らずも我が身に取り込んでしまったもの。そこにこの映画の核心がある。非情にすら思える結末は、同時にこのうえなく崇高であり、音楽映画として特筆すべき深みに達している。

高橋諭治

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ABOUT THE MOVIE

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  • 敬愛なるベートーヴェン
  • 「秘密の花園」「太陽と月に背いて」などで知られるポーランド出身の女流監督アニエスカ・ホランドが、天才作曲家ベートーべンの苦悩と愛を描いた歴史ドラマ。1824年のウィーン。“第九”の初演を4日後に控えたベートーべンのもとに、若い女性のコピスト(写譜師:作曲家が書いた楽譜を清書する職業)、アンナがやってくる。期待に反して女性がやってきたことに怒るベートーべンだったが、彼女の中に才能を見出し、次第にかけがえのない存在になっていく……。
  • 原題:
    Copying Beethoven
    監督:
    アニエスカ・ホランド
    脚本・製作:
    クリストファー・ウィルインソン、スティーブン・リベル
    撮影:
    アシュレイ・ロウ
    出演:
    エド・ハリス、ダイアン・クルーガー、マシュー・グード
    製作国:
    2006年イギリス映画
    上映時間:
    1時間44分
    配給:
    東北新社
  • 12月9日よりシャンテシネほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(c)2006 Film & Entertainment VIP
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敬愛なるベートーヴェン

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