パッション : 新作映画評論

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新作映画評論

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パッション

5月1日より、テアトルタイムズスクエアほかにてロードショー

そのとき、キリストの血は人間世界の反映となる

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やられっぱなしのキリスト。いきなり捕まるところからスタートし、後はひたすら殴られる蹴られる鞭打たれる釘打たれるという責め苦の連続。容赦はない。それをただ黙々と耐えるばかりのキリスト。人間的な感情から限りなく遠く、まるで石ころのように打たれ続ける。その弱さゆえの強靭さに、ただ呆れるばかり。

およそ理解不能な何者かとして、キリストはそこにいる。だからこそキリストはとらえられ鞭打たれる。その過酷な虐待を次々に見せることで、あなたはキリストについて何をどのように知っているのかと、この映画は問いかける。そしてこの傷と痛みこそがキリストである、これがキリストである、これが我々の罪であると、説明抜きに、結果だけを投げつけてくるのである。

そのとき、キリストの身体に刻み付けられた傷と流れ出る血は、彼の視界に広がる人間世界の惨状の反映となる。その傷と血において、我々は等しく罪を負っている。それが人間世界であると、耐え続けるキリストの身体が語る。今も世界中で流される人々の血と同じ血が、そこでは流れている。その意味でこの映画は現代の物語でもある。今回は監督のみに専念したメル・ギブソンはそんな血塗られた世界を救う別の道を、見つめているように思う。

(樋口泰人)

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ABOUT THE MOVIE

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  • 人間イエス・キリストの死までの最後の12時間を写実的に描く問題作。メル・ギブソンが構想12年、製作費2500万ドルには私財を投じ、イタリアのチネチッタ・スタジオで撮影して完成。公開の可否を巡って長期に渡りキリスト教団体等との論争が繰り広げられたが、公開した途端に驚異の大ヒットを記録。観客には死者や警察に自首する犯罪者なども出現した。セリフはすべてラテン語とアラム語で語られ、全米でも英語字幕付きで公開。
  • 原題:
    The Passion of The Christ
    監督・脚本・製作:
    メル・ギブソン
    撮影:
    キャレブ・デシャネル
    出演:
    ジム・カヴィーゼル、モニカ・ベルッチ、マヤ・モルゲンステルン
    製作国:
    2004年アメリカ映画
    上映時間:
    2時間7分
    配給:
    日本ヘラルド映画
  • オフィシャルサイト

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