隠し砦の三悪人/THE LAST PRINCESS : 新作映画評論

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隠し砦の三悪人/THE LAST PRINCESS 隠し砦の三悪人/THE LAST PRINCESS 5月10日より日劇2ほかにてロードショー

“キャラ立ち”に全精力を傾けた今風のエンターテインメント

画像1(C) 2008「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」製作委員会

オリジナル版を律儀になぞった森田芳光版「椿三十郎」に欠けていたもの、それはテンポだ。樋口真嗣版「隠し砦の三悪人」は、50年前に黒澤明が冒険娯楽活劇を刷新した精神を、まず同時代の生理に対応するスピーディーで快活な話法によって踏襲した。

お国再興の軍資金となる黄金を隠し持ち、身分を隠した姫と侍が幾多の関門を突破していく骨子を変えず、軽やかに換骨奪胎された物語は、さながら空想時代劇アニメの実写版といった趣。原始人と見まがう松潤の姿や、もろダース・ベイダーな椎名桔平の扮装も違和感なく、長澤まさみの男装のツンデレ姫はいつになく輝いて見え、虚構の構築は見事に成立している。突破困難な枷の変更や決めゼリフ「裏切り御免」の使用法、山の民という下流社会の視点の導入や姫の恋&成長譚といった脚色も冴えている。何よりもこれは“キャラ立ち”に全精力を傾け、それぞれのぶつかり合いを楽しむ今風のエンターテインメントだ。エンディングに流れる布袋×KREVA×亀田のユニットによる弾けたサウンドもハマっている。

世代感を活かしながらも人間描写に深みが足りなかった過去2作(「ローレライ」「日本沈没」)に比して、樋口は水を得た魚のよう。VFX出身の彼は、カタストロフを視覚的にデザインするプロではあっても、「死」を描く作家ではない。今回は内面や背景を描くのではなく、キャラを動かすことで自由闊達に2時間弱を泳ぎ切った。難を言えば、豪華なセットを組んで臨んだ砦におけるラスト30分はもどかしい。とはいえ、過酷な状況を用意して「生」を描くハラハラドキドキこそが、樋口映画の本質であることは十分に実証された。

清水節

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ABOUT THE MOVIE

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  • 隠し砦の三悪人/THE LAST PRINCESS
  • 時は戦国時代。隣の小国・秋月を攻め落とした山名軍は、秋月の軍資金"黄金百貫"を血眼になって探していた。そんな中、山名軍の労役から逃げ出した武蔵と新八は、偶然にもその黄金百貫を発見。驚喜する2人の前に、真壁六郎太と名乗る野ぶせりが現われ……。黒澤明監督による不屈の名作を、オリジナルに大胆な脚色を加えてリメイク。「日本沈没」の樋口真嗣がメガホンを取り、キャストには松本潤、長澤まさみ、阿部寛ら豪華メンバーが集結した。
  • 監督:
    樋口真嗣
    脚本:
    中島かずき
    撮影:
    江原祥二
    音楽:
    佐藤直紀
    オリジナル脚本:
    菊島隆三、小國英雄、橋本忍、黒澤明
    出演:
    松本潤、長澤まさみ、阿部寛、椎名桔平、宮川大輔、甲本雅裕、高嶋政宏、國村隼、KREVA、黒瀬真奈美、生瀬勝久、古田新太、上川隆也
    2008年日本映画/1時間58分
    配給:
    東宝
  • 5月10日より日劇2ほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)2008「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」製作委員会

隠し砦の三悪人/THE LAST PRINCESS

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