告発のとき seanさんの映画レビュー

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告発のとき

  • 公開日 2008年6月28日
  • 3.8(全169票)
原題:
In the Valley of Elah
監督・製作:
ポール・ハギス
脚本:
ポール・ハギス、マーク・ボール
撮影:
ロジャー・ディーキンス
音楽:
マーク・アイシャム
美術:
ローレンス・ベネット
製作国:
2007年アメリカ映画
上映時間:
2時間1分
配給:
ムービーアイ

(c)2006 Elah Finance V.O.F.

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アメリカの闇+心の傷=子供たちの未来。
投稿日:2008年7月7日
seanさんのレビュー

印象Pickup
泣ける
悲しい
怖 い
ネタバレ

いい映画には、いい脚本。と常々思っている私ですが、
これは『クラッシュ』でアカデミー賞獲得のP・ハギス作品。
実話がベースになっており、鑑賞後に深く考えさせられます。
テーマはおそらくPTSD(心的外傷後ストレス障害)で、
イラク戦争の悲惨さや是非を正面から批判はしていません。
が、結果として父親から引き継がれた「軍人」としての責務を
果たす半ばで事件に巻き込まれてしまった息子の心の「傷」を
丁寧に追う中で、それが何を引き起こしたかが見えてきます。

うーん…!久々にものすごくいい作品を観た気がします。
よく書きこまれた、素晴らしい脚本だと思いました。
地味な宣伝で、公開劇場も限られているような作品なんですが、
これはもったいない。
なにしろ主演のトミー・リー・Jが、あのCMのまんまの表情で^^;
物語の道すじを完全に演じきってくれるのですが、素晴らしい!
どうしてこの人は「苦虫を噛み殺しているような」苦渋の表情が
こんなにも似合うんでしょう…!
刑事役のS・セロン、母親役のS・サランドンの演技も素晴らしく、
大きな半径の中で、僅かな手がかりを求めてあがく苦しみが、
彼女らの悲しみを背景に、ラストまで延々と続いていくのです。
重い。確かに重い題材だけど、誰もに通じる問題となっています。

―ベトナム軍人である誇りを決して忘れない父親。
毎朝、丁寧にベッドメイクを施し、靴を磨き、身支度を整える。
星条旗を毎日正確に掲げることは、重要な国民義務だと唱える。
国を愛し、国のために尽くした自分は「他と違う」という誇り。
それだけに、今日の若者の精神状況がまったく見えていない。
自分の頃はああだった、こうだった、と過去を正当化する彼は
正しいはずの息子がなぜ事件に巻き込まれたのか理解できない。
やがて女性刑事の手を借りて、やや独自に捜査を開始した彼に、
想像もしなかった真相が襲いかかってくる…。

なんといっても、この父親の心情ですね。。
一応ミステリードラマなので、ネタばれはできませんけれど、
犯人の告白を聞いたとき、言い返すことも殴りかかることも
できなかった父親。それはなぜなのか。
何度も見つめてた、息子が撮った写真の真相が判明したとき、
過去に電話してきた息子に自分は何と言ったか…。
もうこのあたりでは、涙が(目からではなく)溢れて仕方なくて、
あぁ自分だったら、こんな時どう言っただろうか。
同じようなことを息子に言ってしまうんじゃないだろうか。
そんなことばかりを考えていました。
情けなくて、親としてものすごく情けなくて、悲しかった。。
大事な息子を助けてやれなかった。救ってやれなかった。
…その悲しみをトミー・リー・Jが全身で表現しています。

ラストにこの父親は、ある行為をします。
まさにこの決心が「告発のとき」。
その行為が持つ意味を、冒頭で彼自身が説く場面がありますが、
静かなるダビデの叫びがエラの谷から聞こえてくるようでした。

(アカデミー賞は残念でした。確か靴職人に負けたんだよな(=_=))

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