クライマーズ・ハイ : 新作映画評論

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新作映画評論

クライマーズ・ハイ クライマーズ・ハイ 7月5日より丸の内TOEI1ほかにてロードショー

未曾有の悲劇を深追いせず、映画的醍醐味が味わえる佳作に

画像1(C)「クライマーズ・ハイ」フィルム・パートナーズ

あの夏の惨劇――直後に動き出す地元新聞記者たちの闘い。編集局内の確執や販売局との対立といった事態に直面し、ブンヤ魂が熱くほとばしる。カオスの中、脇役たちが活写され、局内の管理職・蛍雪次朗、遠藤憲一、でんでんら個性派キャラは、ここぞとばかり全開だ。

単なる事件記者ものではない。あれから23年経った現在から、極限状態の中を無我夢中で生きた全権デスク・堤真一が、トラウマともなった過去を思い起こし、今また新たな「山」に登り直すという構成を採っている。つまり、1985年の墜落事故は彼の心象風景でもあるのだ。

カット数の多さを豪語する原田眞人演出は、サスペンスフルではあっても、相変わらず内面の掘り下げにもどかしさを感じさせ、時折インサートされる現代のパートは、過去とうまく反照し合わない。立て籠もった若者たちの描写を一切捨象した権力礼賛映画「突入せよ!『あさま山荘』事件」の原田は、何を血迷ったのか、今度はもっと遺族側を描こうと画策したようだ。だが、原作者・横山秀夫から受けた「君は『クライマーズ・ハイ』がやりたいのか? 日航機墜落事故がやりたいのか?」という示唆が効いたようで、未曾有の悲劇そのものを描くだけの映画では終わらず、あの事故を通過した主人公の、組織という父性からの自立、息子との関係を修復し自身が父性を確立するというテーマは貫かれた。極度の興奮によって感覚が麻痺した状態を脱し、挫折を乗り越えて成長するという物語の核心はかろうじて担保され、映画的醍醐味が味わえる佳作に仕上がっている。

清水節

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ABOUT THE MOVIE

  • クライマーズ・ハイ 画像2
  • クライマーズ・ハイ
  • 1985年8月12日、乗客乗員524名を乗せた日本航空123便が、群馬県多野郡上野村の御巣鷹山に墜落。群馬の有力地方新聞・北関東新聞社の記者・悠木は、事件の担当デスクに任命され、混乱する状況や次第に露わになっていく社内の人間関係の軋轢に押しつぶされそうになりながらも、未曾有の大惨事の真実を伝えるために奔走するが……。ベストセラー作家・横山秀夫の原作小説を、「突入せよ!『あさま山荘』事件」の原田眞人監督が映画化。主演は堤真一、堺雅人ら。
  • 監督:
    原田眞人
    脚本:
    加藤正人、成島出、原田眞人
    製作:
    若杉正明
    原作:
    横山秀夫
    撮影:
    小林元
    音楽:
    村松崇継
    出演:
    堤真一、堺雅人、小澤征悦、田口トモロヲ、堀部圭亮、マギー、尾野真千子、滝藤賢一、でんでん、矢島健一、皆川猿時、野波麻帆、西田尚美、遠藤憲一、中村育二、蛍雪次朗、高嶋政宏、山崎努
    2008年日本映画/2時間25分
    配給:
    東映、ギャガ・コミュニケーションズ
  • 7月5日より丸の内TOEI1ほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)「クライマーズ・ハイ」フィルム・パートナーズ

クライマーズ・ハイ

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