クロアチアの新鋭女性監督の長編デビュー作「自分の生まれた街を題材にした」

2016年11月1日 17:40


(左から)ハナ・ユシッチ監督、 主演のミア・ペトリチェビッチ
(左から)ハナ・ユシッチ監督、 主演のミア・ペトリチェビッチ

[映画.com ニュース] 第29回東京国際映画祭コンペティション部門出品作「私に構わないで」が11月1日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、ハナ・ユシッチ監督、主演のミア・ペトリチェビッチが会見した。

病院に勤務するマリヤナは、強権的な父親、障害を持った兄、無責任な母親と小さなアパートで、互いにイライラして暮らしている。ある日、父親が倒れ、突如としてマリヤナに家族の長としての責任が押し付けられる。クロアチア=デンマーク合作映画。

本作が長編デビュー作となるユシッチ監督は、自身の生まれ育った環境を作品に投影した。「私にとって初の長編作だったので、いろんなものを詰め込みたくなりました。自分の生まれた街、そこに住む人々のメンタリティ、周りにはなじめないけれど、カリスマ性のあるキャラクターを描きたかった」そうで、物語の舞台について「シベニクの海岸沿いの街で、ルネサンスの雰囲気がある観光地。でも、1本裏道に入れば、絵ハガキとは違う世界があり、醜い部分にも焦点を当てた」という。

主人公のマリアナを演じたペトリチェビッチの本業は建築家。ユシッチ監督が休暇に出た際に、本作の主人公のイメージにぴったりだったペトリチェビッチをスカウトしたと明かす。監督からオファーを受けた時のことを「いいんじゃないと思った」と笑顔で語り、「女優の経験はありませんでしたが、自分の深い部分に眠っている部分を表現できたかもしれない」と撮影を振り返った。

閉塞的な日常にうんざりしていたマリアナが、故郷を捨てて逃げ出そうとするものの、途中であきらめるラストシーンについては、「自分の人生は家族と共にあるもの、悲しいラストではなく、家族愛を選んだと思っていただければ」(ユシッチ監督)、「クロアチアは家族のきずなが大事。私もマリアナのように家族のもとに戻ると思います」(ペトリチェビッチ)と説明した。

第29回東京国際映画祭は11月3日まで開催。

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