コラム:編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番 - 第35回

2015年7月7日更新

編集部コラム やっぱりアニメはヽ(´▽`)ノ日本が一番

第35回:3年ぶりの細田守監督作「バケモノの子」は夏休み必見の一作

当コラムの第1回で取り上げたのが細田守監督の「おおかみこどもの雨と雪」でしたが、あれから早くも3年。同作以来となる細田監督の新作「バケモノの子」がいよいよ7月11日から公開です。

個性豊かなバケモノたちと渋天街も魅力的な「バケモノの子」
個性豊かなバケモノたちと渋天街も魅力的な「バケモノの子」

「おおかみこどもの雨と雪」では、人間の母親と狼男の血を引いた子どもたちとの深い愛情を描いた細田監督。今作で描くのは、血のつながりはないが父子のような絆を結んでいく、孤独な少年とバケモノの関係です。物語の舞台は日本有数の大都会・渋谷と、バケモノたちが住まう世界の渋谷とも言える「渋天街(じゅうてんがい)」。母親を亡くし、父親が姿を消してしまった9歳の少年は、居丈高な親戚のもとに行くことを拒み、ひとりで生きていくための強さを求めて渋谷の町をさまよう。そして、偶然紛れ込んだ渋天街で熊徹という名のバケモノの弟子になる。

一方の熊徹は、渋天街で一二を争う強さを誇り、バケモノたちを束ねる「宋師」の次期候補者のひとりとされている。しかし、宋師になるには弟子を育てなければならないが、粗暴で品格のかけらもないため、誰も熊徹の弟子になりたがらない。熊徹は少年を弟子にとって九太と名付け、鍛え上げる。事あるごとにぶつかり合い、いがみ合う2人だったが、次第に本当の親子のような絆が芽生えていく。やがて成長した九太は、偶然戻った渋谷の町で高校生の少女・楓との出会いを経て、幼い頃に別れたままの本当の父親の存在を意識するようになる。

何かとぶつかり合う熊徹と九太だが…
何かとぶつかり合う熊徹と九太だが…

自身に子どもが生まれたことがきっかけで、母と子の物語である「おおかみこどもの雨と雪」を描いたという細田監督ですが、今作は「子どもがどのように成長し、大きくなっていくのか」ということが着想のきっかけになったそう。子の成長に親が大切なのはもちろんですが、それ以外の多くの人々からも影響を受けて育っていくということを、実親を失いながらもバケモノたちに囲まれて育つ九太の姿を通してストレートに描いています。

「おおかみこどもの雨と雪」は細田監督作品初の東宝配給で、全国333館で封切られるという最大規模のロードショー公開でした。その結果、興行収入42.2億円/観客動員344万人という記録を残し、興収や動員といった単純な数字の比較だけでも、前々作「サマーウォーズ」(ワーナー配給/公開規模129館/興行収入16.5億円/観客動員126万人)より飛躍的に多くの人々に届いたと言えるでしょう。つまり、それだけ「おおかみこどもの雨と雪」で初めて細田作品に触れたという観客も多かったとも言えるかもしれません。

渋天街のバケモノたちに囲まれて育つ九太
渋天街のバケモノたちに囲まれて育つ九太

「バケモノの子」は、母と子、父と子という関係に違いはあれども、家族や親子とは何か、そして子供の成長を描いているという点で「おおかみこどもの雨と雪」に通ずる部分もあり、前作で初めて細田作品に触れ、その作風が気に入った人には必ず響く作品になっていると思います。そしてさらに、今作ではこれまでになかった大がかりなアクションや異世界を舞台にした冒険的要素といった夏休みの映画らしいエンタテインメント要素も盛り込まれており、細田監督が今作でも挑戦を続けていることがわかります。

その他、忠実に描きこまれた渋谷の町なども見どころでしょう(スクランブル交差点やセンター街は、その雑踏がリアルに伝わるモブシーンも注目)。この映画を見たあとに渋谷を歩けば、ビルの隙間から渋天街につながっているような、人混みのどこかにバケモノが潜んでいそうで、そんなワクワク感も味わえるこの夏必見の一作です。

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■「バケモノの子
2015年/日本
監督:細田守
声の出演:役所広司、宮崎あおい、染谷将太
7月11日から、TOHOシネマズスカラ座ほかにて全国公開
作品情報

筆者紹介

映画.com編集部のコラム

映画.com編集部・あさかよしあき。編集部のアニメ好き。若手女優やアイドルのチェックにも余念がない。もちろん普通に映画も好き。

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