劇場公開日 2009年12月5日

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カティンの森のレビュー・感想・評価

全16件を表示

4.0祖国と父への想いが相俟った強烈なラストシーンに…

2023年10月4日
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縁あって、原作本に触れ、
この映画を再鑑賞した。

しかし、タイトルは同じでも、
両者の構成はかなり異なるものだった。
この映画では、
犠牲になった兵士の家族が多く登場し、
その関係や各挿話の役割も入れ替えていた。
また、ウエイト高く描かれる兵士達の
虐殺まで経過は、
原作では、終盤における大尉の手帳の記述で
ようやく語られるだけだ。

そして、カティンで殺害される大尉の
母・妻・娘それぞれの、
息子・夫・父への想いに
原作ではウエイトを置いていたが、
この映画では、例えば、
酷い虐殺を強調する手段として、
カティンで処刑される一員としての大将や
他の犠牲者の家族の場面を増やし、
事件そのものをあからさまにすることに
力点があったような気がした。

また、他の作品でも繰り返し描いてきた
ワイダ監督の作品同様、
大国に蹂躙されてきた祖国への想いは、
校長である姉の科白、
「自由なポーランドはあり得ない」や、
取り調べを受けるその妹の言葉、
「私はどこの国にいるの、
ここはポーランド?」
に凝縮していたようにも思え、印象的。

言葉では言い尽くせないような、
それこそ息苦しくなるような処刑シーンは、
これまでも残虐な映像は様々な映画で
私もそれなりに観てきた思いがあるが、
これほど強烈な描写は
経験が無かったような気がする。
それ程、ワイダ監督の、
祖国と父への想いが相俟った、
犯罪者への強い糾弾への意思が
凝縮されていたのだろう。

この作品、その鮮烈で残虐なラストシーンで
唐突に終わり、
残された家族の描写に立ち戻ることもなく、
以前の鑑賞でも、
映画としての唐突感が拭えなかったが、
しかし、この強烈さ故に、
これに代わる終え方も難しかったであろうと
この再鑑賞で感じたことだった。

ただ、それでも、
監督の想いはあのラストシーンで
充分だったはずにも関わらず、
原作以上に、
観る側には関係が判りづらい登場人物の
エピソードを増やすなどの
間口を広げ過ぎた結果、
少しまとまりに欠けてしまったように
感じる鑑賞でもあった。

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KENZO一級建築士事務所

2.5確かにアンジェイ・ワイダ監督の力作だが…

2023年2月19日
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鑑賞方法:DVD/BD

アンジェイ・ワイダ監督が描いた「カティンの森事件」、渾身の一作。
確かに、ワイダ監督の力作であるが、個人的には迫力あり過ぎる虐殺事件でリアル過ぎるので、観終わって力が抜けてしまう…(^^;

冒頭テロップ「1939年8月23日、ドイツとソ連は不可侵条約を結ぶ」・「9月1日、ドイツ軍がポーランド侵攻」・「9月17日、ソ連軍もポーランド侵攻」という背景を表示。
そして、ポーランド軍の将校を夫に持つ母娘が夫を探す。束の間の再会、夫は移送される。妻は夫の安否を気にしながら暮らす。
……といった前半は、様々な映画で描かれているように、ポーランドが侵攻されてポーランド人が苦しい状況であることを描きつつ、家族愛も映し出す映画である。

後半になって、カティン事件を描き始めたあたりから、当時のニュース・フィルムを使っているので(モノクロ映像ではあるが)事件が現実のものであったことが生々しく描写される。
……このあたり、これまで数多くの映画を観てきたので耐性はあるはずの自分だが、痛みを感じずにいられなくて、居心地が悪い感あり。

登場人物の女性が「自由なポーランドは有り得ない、二度と…」というセリフを口にするあたりも、かなり悲劇的な雰囲気たっぷり。

劇中、将校の父親と引き裂かれて成長した娘エヴァが街中で出会った若者と映画館の前で「映画観たことないわ。『陽気な連中』だって…」とソ連映画が上映されている場面あり。

アンジェイ・ワイダ監督の力作であることは確かだが、個人的にちょっと合わず……。

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たいちぃ

4.0自分達の失敗を認めて前に進む。

2022年12月3日
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鑑賞方法:映画館

ウクライナの黒歴史「バビ ヤール」見たので、
ポーランドの黒歴史「カチンの森」見たかったんです。
アンジェイワイダは「地下水道」しか見てませんがやっぱりリアリティ凄いです。
ポーランドとウクライナの事、歴史は素晴らしいレビューがあるのでそちらを参考にすると良いでしょう、私も映画見る前にそのレビュー読んでおけば良かったと反省。

戦前から戦後まで、そして捕虜になった将校の日記と行ったり来たりするし、色んな立場の人が出てくるのでちょっと誰だったか見失うのと、けっこう何度も数年スキップするんで時代的な知識、独ソ戦の知識がないと中々分かりづらいだろうなと思いました。

まあ映画としての出来がどうこう言うよりも、ただただこの最悪の隠蔽された事実を告発するために作られた映画としての役割が勝るんだろうなぁ。

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masayasama

5.02022年春 カティンの森事件は現在進行形なのです

2022年4月27日
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鑑賞方法:DVD/BD

本作は1940年4月に起きた、ソ連軍(ロシア軍)による大量虐殺事件を扱っています
事件自体は実話です

今こそ見るべき映画です
理由は見ればすぐ分かります

以下は2022年4月23日の記事です

 「アメリカの宇宙企業「マクサー・テクノロジーズ」は22日、マリウポリの東、およそ12キロに位置する墓地で、新たに広範囲に地面が掘り返されている様子を示した衛星画像を公開しました。

 墓地の地面はおよそ1カ月の間に拡大し、マリウポリ市議会はこれがロシア軍が作った新たな集団埋葬地で、長さ45メートル、幅25メートルに及び少なくとも1000人を埋葬できる広さだと指摘しています。

 マリウポリ近郊の別の場所でも21日に集団埋葬地とみられる場所が衛星画像で確認されていて、市議会は3000人から9000人の民間人の遺体が埋められた可能性があるとしていました。」

本作と同じことが今行われているかも知れないのです!

本作の終盤に虐殺死体が投げ込まれる巨大な長方形の穴が、この衛星写真とそっくりなのです

吐き気がしそうです

ウクライナの人々は本作の冒頭のように隣国ポーランドに子供の手を引いて何百万人も避難しています
男達は、妻や子に別れを告げて国を守る義務を果たしているのです

ポーランドの人々は、そんな大量の避難民を受け入れて懸命に支援をしています
隣の国だから?、明日は我が身だから?
もちろんそうです
しかし、このウクライナの避難民達を自分たちと同じポーランド人として扱っているのです

なぜなら、ウクライナの西側は第二次世界大戦の前はポーランドだったからです
当時のポーランドとウクライナ(ソ連)との国境は、現在の国境より300キロも東にありました
つまりリビウとキーウとの中間辺りに、ポーランドの国境はあったのです

現在のポーランドの国境線はそのリビウの西70キロ辺りになっています
ドイツとソ連との密約で決めた分割線が、ほぼそのまま今の国境なのです

ポーランド人の中にはその地域出身で、お墓もそこにあるという人々が沢山いるのです
だからこのウクライナの戦争は隣国の戦争ではなく、自国の戦争なのです

本作はもちろんポーランドの映画です
監督はあのアンジェイ・ワイダ

冒頭のナチスドイツ軍とソ連軍(ロシア軍)から、侵略を受けてごく僅かな荷物だけをもって逃げる避難民の姿
それはついこのあいだテレビで視た光景と同じものです

映画は1939年9月17日から始まります
ウクライナと同様に宣戦布告もなくソ連軍(ロシア軍)はポーランドに侵略を開始したのです

ドイツ軍は、すでにその半月前の同年9月1日からポーランドに侵攻を始めていました

ポーランドは東西からの圧倒的な軍事力に挟まれてしまったのです
監督はそれを西からの避難民と、東からの避難民が、鉄橋の上でかち合うシーンで簡潔に映像として表現します

そうしてポーランドは、ドイツとソ連に分割占領され引き裂かれて国として消滅してしまったのです

監督は、それをポーランドの赤白の2色国旗がソ連兵に真っ二つに引き裂かれ、赤はソ連国旗の赤旗代わりにされ、白は靴下代わりにされてしまうシーンで鮮やかに映像としています

ポーランドの国旗は、赤は勇敢さを、白は実直さや善を表しているそうです

それがそのようにされてしまう
恐ろしいばかりの表現力です

ポーランド軍の大尉の妻アンナは7歳くらいの娘のニカ(ヴェロニカ)の手を引いて自転車を押して避難しています
彼女の家はクラクフにありました
ポーランドの首都ワルシャワの南方300キロほどの歴史ある古都です

目的地は、陸軍大尉である夫の駐屯地、恐らくプシェミシルです
約100キロの道のり

ポーランドの現在の国境線の街として、テレビ中継によく登場するのが、このプシェミシルの町です

ポーランド軍は圧倒的なソ連軍の兵力にたちまち包囲されやむなく降伏します
一般の兵卒は家に帰るように命じられますが、将校だけは捕虜となります
アンナの夫アンジェイ大尉も大将以下大勢の将校とともに捕虜となって駅に集められています

その駅こそ、生中継で登場する当時のプシェミシルの駅に違いありません

彼等は、貨車に載せられて最初の収容所に送られます

そこはコジェルスク収容所
字幕はソ連ですが、ワルシャワの北150キロのところ
ソ連軍が運営する収容所と言う意味でしょう

そこでクリスマスも越し、リストに名前のあった者は何も知らずに翌1940年4月3日から別の収容所に囚人用列車で移送されていくのです

トラックに乗って共産党が街中に拡声器でこんなことを街中に言って回っています

「ソ連赤軍は皆さんの味方です!
皆さんの抵抗は無意味です!
ソ連があなたたちを戦争から解放し平和な生活が始まるでしょう」

しかし、その後ろではソ連軍が自動小銃を肩に行進しているのです

アンナがクラクフの家に帰りたいと、役所に「出国」を申請するシーンがあります
ソ連支配地域からドイツ支配地域に行くには出国申請が要るのです
同じポーランドの中なのに!

しかもその役所はソ連兵とナチス兵が仲良く共同運命しているのです

ソ連(ロシア)と、ナチは仲良く共謀して、他国を侵略し分割しあったファシスト仲間だったのだという告発のシーンです
ソ連がナチを打倒したのは、単に仲間割れに過ぎないのです

1940年春、アンナとニカの母娘はクラクフの夫の実家にたどり着きます

アンナの義母との会話で、「英仏は黙っていない」という台詞があります

きっと英仏がいつかはポーランドを助けにきてくれるという希望の台詞だったのです
でもそれはなかったのです

21世紀のウクライナ戦争
米英仏などNATO各国はウクライナには参戦してくれないのです
同じ事が再現されているのです

1943年4月13日のクラクフ市内のシーン
広場で拡声器が何かのリストを延々と読み上げています
アンナは新聞を買い、そこに夫の名前がないのを確認しています

一方新聞のリストに夫の名前を見た大将夫人には、ドイツ総督府宣伝班から手紙が届きます
それは「カティン犠牲者のリストの件で」とある呼び出し状だったのです

大将夫人はドイツ軍のプロパガンダへの協力を要求されます
拒否すると「アウシュビッツから娘に手紙を出したいのか!」と恫喝されます

アウシュビッツは、このクラクフから西にわずか70キロのところ
この1ヵ月前の1943年3月までに、10万5千人以上のユダヤ人がアウシュビッツに送り込まれたばかりだったのです

別室で夫人は、ドイツ軍撮影のカティンの森事件の記録映画を見せられます
気丈な大将夫人でさえ帰り道でよろめいてしまうほどの内容です

この2年前の1941年6月ドイツ軍は、突然ソ連に侵攻を開始、独ソ戦争が始まっていました
ドイツ軍は破竹の勢いで進軍しますが、このシーンの頃には既にソ連軍の反攻が始まっていました

それ故にドイツ軍は、このソ連軍の戦争犯罪の記録映画を撮って糾弾しようと目論んでいたのです

その次のシーンはそれから2年後
1945年1月18日、クラクフ
ソ連軍がクラクフを占領した時の実際の記録映像が流れます

大将夫人宅にかって家政婦として使われていた女性が現れます

家政婦の夫はソ連側のパルチザンだったのです
その夫がソ連に市長に任命されたといいます
だから家政婦の彼女は、今では市長夫人様なのです

以下は2022年03月15日の記事
「ロシア軍に市長が拉致されたウクライナ南部メリトポリ、新市長が就任」
いま全く同じことが現在進行形なのです

イェジは少佐となって、アンナの前に現れ、大尉の死を知らせます

独ソ戦でロシア軍は劣勢になったため、釈放したポーランド人将校でポーランド軍団を編成してドイツ軍と戦わせます
イェジはソ連配下の少佐になっていたのです

「アンデルス軍に参加すれば、今頃は亡命」
アンデルスとは、ソ連の捕虜収容所から釈放されたポーランド軍団の将軍のこと
彼は軍団ごと西側に脱出したのです

しかし、イェジは今はソ連内務人民委員部(略称NKVD)の制服を着ています
後のKGB、秘密警察です
彼は敵であるソ連の手先に成り下がっていたのです

クラクフ法医学研
43年以降ドイツがソ連の戦犯有罪証拠を保管とテロップがでます

しかしそんなものがロシア軍に見つかれば、直ちに奪われて証拠隠滅されてしまいます

何故ならロシア軍は、カティンの森事件はドイツ軍の仕業だと捏造してプロパガンダを始めていたからです
なので研究所員は隠れて資料を整理しているのです

夜の広場
ソ連のプロパガンダ映画が上映されています
カティンの森事件はドイツ軍の仕業だと大音響で主張しています
だから発生時期を辻褄があうように41年秋以降にずらしているのです

これは2022年4月6日の記事です
「露外相、ブチャ虐殺は「捏造」「交渉破綻の狙い」と一方的に主張」
同じことが起きています

映写機のトラックのドアを叩いて抗議をする大将夫人にイェジが気付き、とっさに連れ出してことなきを得ます
しかし夫人は彼が最も言われたく無いことを指摘してなじるのです

イェジは酒場で酔い、「犯罪者の勝利に乾杯」と店中に聞こえるように放言し、暗い夜の通りで自分の頭を撃つのです

次のシーンは戦後の1946年

ワルシャワ蜂起とは、ポーランドの首都ワルシャワでのドイツ軍へのポーランド人の一斉蜂起のこと
これもまたカティンの森事件に並ぶ悲劇です
ソ連の裏切りが原因だったのです

写真館ではたらくアンナに甥が、美術学校の学生証用に写真を撮りにきます
この青年にワイダ監督が投影されています

彼は女性校長から履歴書に問題があると言われます
それには父は40年カティン犠牲者ソ連により虐殺とあったのです
青年は校長に啖呵をきって外に飛び出します

「カティン問題は人民共和国への忠誠の尺度」
残された老教師は校長にこういいます
「国が自由になったら?」
「自由なポーランドはあり得ない、覚えておいて、二度と」

結局、その青年は命をを落としますが、その直前まではワイダ監督自身の実体験が元になっているように思います

写真館の客であった若い女性が教会に現れますが、会いに行った神父は昨夜逮捕されています
ドイツ軍がカティンの墓を暴いた43年にその現場でミサを行った神父だと密告されたからです、

兄の遺影付きの墓石には「40年4月カティンにて非業の死」と刻まれてあります
それを一目みるなり若い神父は顔色を変え教会に墓石を預かることを拒絶するのです
結局、彼女は拉致され、墓石も割られてしまいます

映画はカティンの森の虐殺はどのように実行されたかを具体的に映像で克明に再現されて終わります
震えが止まりません

愛国心やナショナリズムは危険だ、悪だと思い込んでいる人こそ、本作を観るべきです

「リパブリック」の自由と独立を守るために、市民は時として武器をとって戦わなければならないのです
近代国家の基本的な論理は、国家の主体(主権者)は市民です
国家の戦争はただちに市民の戦争であるのです
「戦争は政治家や軍隊だけがやればよい、市民は関係ない」
それは「戦争は王や王の軍隊だけがやればよい、庶民は関係ない」という中世国家の論理です
「政治の主体は市民だが、戦争の主体は市民ではない」
このように、市民の主体性を否定するなら、それは民主主義の否定に他なりません

カティンの森の犠牲者のリスト
将校ばかりのはずなのに、学校教師、カメラマン、とかとか色々な職業であったことにお気付きですか?

ポーランドは侵略を受けて1万人もの知識人が将校となり、一般男性を率いて戦っていたのです
市民の軍隊だったのです

2022年のウクライナ軍も同じです
同じように市民が戦っているのです

ウクライナに対して、犠牲者が増えるから早く降伏せよという無責任な主張は、民主主義を否定していると思います

こうした思いに至った映画です
今こそ観るべきです

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あき240

3.5何ということを!人間の悪に愕然とする

2022年4月20日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

国境を侵しただけでは済まない悪意は、侵略した国の頭脳を葬ろうと、数万のポーランド人を虐殺した。
ヨーロッパではアウシュビッツで、アフリカではウガンダ。カンボジアのポルポト。そして南京大虐殺。近年ではボスニア内戦時の民族浄化、その他空爆を含めると原爆等、多くの大量虐殺があったが、ポーランド将校らの悲劇「カティンの森」もその一つ。
戦後共産化したポーランドで「ドイツがやった」「ソ連がやった」となすりつけ合う国のエゴとプロパガンダに国民はどう生きればよかったのか、体の表面から泡が吹き出し息の詰まる思いだ。
登場人物の頬がひきつり、見ている我々の顔もひきつる。ラストの重く衝撃的なシーンもさることながら、軍の思いどうりにしないと、墓石まで破壊する理不尽さには思わず声が出てしまった。
旧日本軍には飛行場を作るにも人海戦術だったと聞く。カティンのソ連軍にはでっかいブルドーザーがあったんだ。

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ezu

4.0戦争を語り継ぐ映画

2021年5月27日
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カティンの森で虐殺されたポーランドの捕虜達に哀悼の意を捧げる映画

カティンの森事件を隠蔽しようとするソ連に反発する人たちの勇気と誇り、高潔さを感じられた。

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白石黒井

5.0戦争犯罪

2019年5月19日
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鑑賞方法:DVD/BD

興奮

知的

あとで、監督のコメントを聞いたんですが、世界では知っているが、1989年以降にポーランドが自由になってから作品にすることができたと。でも、『カティンの森』のロシアの他殺事件をどう作品にするかなかなか決められなかったと。目撃者は一人だけ(Jozsf Czapski)で、この大量殺人に関して無関心な人が多いし、犯罪に焦点を置こうか、嘘に焦点を置こうか迷ったそうだ。そして、嘘に焦点を置いたと。
やっと1990年にゴルバチョフがソ連のNKVDが大量虐殺をしたことを認めた。

日本が犯した中国/韓国への戦争犯罪を思い起こさせる作品だった。

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Socialjustice

3.5第2次世界大戦中、約22,000人のポーランド軍将校、国境警備隊員...

2019年5月16日
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悲しい

怖い

第2次世界大戦中、約22,000人のポーランド軍将校、国境警備隊員、警官、一般官吏、聖職者がソ蓮内務人民委員部(NKVD)によって銃殺された戦歴。
鬼畜としかいいようがない。
鑑賞日:2015.2.28

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miharyi

4.0人間に生まれたこと呪いたくなる作品。歴史の重みに胸が潰される。

2019年4月23日
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人間に生まれたこと呪いたくなる作品。歴史の重みに胸が潰される。

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ym

5.0芸術的プロジェクト

2018年4月20日
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鑑賞方法:試写会

知的

現代的の映画では本物のアートや多くの芸術の専門からインスピレーションを取る事も少ない。だからこそ本物の傑作を皆様に知らせるべきです。アンドレエ・ワッダさんは本当に心が広くて創造力では右がない方でした。このプロジェットでは観客の皆様にこの芸術家のインスピレーションとアートワークにも近づけらるようになります。発行する為クラウンファンディング・ページ資金を集める予定でもうすぐ幅広いのお客様に届けるようになると願っています。
https://multiartprojects.com/ja/

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Wajda Art

3.5史実と戦争の残酷性と祈りと

2015年7月9日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

第二次世界大戦が始まった前後、ソ連のスターリング主義の下、ポーランド人大虐殺の歴史的事実がよく理解できた映画でした。つくづく自由にものが言えない国の怖さを感じました。戦争のことを知れば知るほど、人間のなせる底なしの残酷さに、本映画のラストではなくとも神の救いを祈るしかすべはないのでしょうか。

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chakurobee

5.0歴史は重い

2015年4月13日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

怖い

概略だけは知っていたカティンの森事件。アンジェイ・ワイダが史実を元に、見事に二時間にまとめている。ソ連が行ったポーランド人将校の大量虐殺。ポーランドに進攻したソ連軍は、それをドイツ軍のせいにして、反ドイツキャンペーンと親ソの雰囲気づくりを行う。事実を知っていながら、大国ソ連に従うしかないポーランド国民が悲しい。アンナ役の女優が印象に残る。

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ガク

2.0命の

2015年1月7日
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怖い

重さ。現代の日本では人ひとり殺しても大事件なのに戦争してる時代には大量の死が当たり前にある。戦争映画を観る度、不思議な感覚になる。この作品も機械的に次々に大量の死を見せられる。目の前にたくさんの死体があり次が自分の番だとわかった時の気持ちって、、、辛すぎる。

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がい

4.0名監督がおくる戦後ポーランドへの鎮魂歌

2010年1月7日
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鑑賞方法:映画館

 ゴルバチョフ体制のときに、ようやくソ連が認めたカティンの森でのポーランド将校虐殺事件は、世界史上に残る忌まわしい国家犯罪のひとつだ。それがついに、ポーランドの名匠アンジェイ・ワイダ監督にらよって映像化されたのだが、この作品ではじめて、ワイダ監督の父親がカティン事件の犠牲者だったことを知ると、なおのことこの作品の重要性は増してくる、というものだ。

 しかし、映画はカティン事件そのものではなく、事件の犠牲になった将校の家族たちの物語だ。だから、観る側は最初、少し肩透かしをくらったような気分になるのだが、物語が進むにつれてワイダ監督の演出意図がわかってきて、画面から目を離せなくなってくる。

 この映画の中で印象的なのは、ナチス・ドイツが敗れ去り、かわってソ連がポーランドを支配するようになってからのカティン事件への関わり方だ。ソ連は、カティン事件はドイツ側としていたが、ポーランドの民衆のほとんどはソ連の仕業であることがわかっていた。だから、カティン事件がソ連支配への服従の踏み絵、となっていたことには、かなり驚かされた。カティン事件を口にできなかったこととは、戦後ポーランドが暗いトンネルの中を歩んできたのを意味しいたことを、ワイダ監督は物悲しく、切実に描いている。「灰とダイヤモンド」以降、ワイダ監督が語ってきたポーランドがポーランドであり続けることの難しさを、この作品でもよりしっかりと観せている。

 この作品の中で、古い映画ファンが思わずニヤリとするシーンがある。それは「灰とダイヤモンド」の主人公の青年マチェックに似た若者が、少しの間だけだが登場するのだ。支配体制に敢然と挑戦するマチェックは、若い頃から変わらないワイダ監督の熱い心の象徴なのだが、それを再び登場させたのは、ワイダ監督がカティン事件の映画製作への執念を表現してみせたように思う。そして、そのマチェツクのような青年たちによって現代のポーランドが立ち上がってきたことも、ワイダ監督は忘れさせないようにしたかったのだろう。

 ラスト、カティン事件で死んだ将校が残した日記が、人の手でなく、一塵の風に吹かれてろめくれていく。その孤独さは、現代への警鐘のように感じた。ワイダ監督がひたすら、戦後ポーランドを描いてきたのは、革命によって生まれたソ連がそうであるように、民衆によって成された革命とは万人のためにあるものではないからだ。だから、国が民衆の力によって変わろうとも、国を信じてはならないということを、ワイダ監督はこの作品でも観るものに訴えかけている。民衆の手は、常に国を支えるべきであることを、ラストシーンは物語っているような気がする。

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こもねこ

5.0放心状態になり、しばらく動けず

2009年12月23日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

怖い

事前情報は
第2次世界大戦中
作品タイトル『カティンの森』で起きた
ポーランド人大量虐殺の実話を描いた作品。

それだけ知った上で、上映開始を待ちました。

☆彡     ☆彡

やばいです
なんですかこの作品は
ことばがでてこないんですけど・・・

放心状態で、しばらく席を立てませんでした。
呼吸を整え、パンフレットを購入したのですが、
作品の脚本がパンフレットの中に書かれていたんです(こんなのはじめて)。
セリフを読むと、シーンが甦ってきます。この作品の記憶が消えることはないでしょう。

ネタバレをなるべくしないように、
作品の一部と歴史背景を抜粋するようにします。

◇   ◇

『カティンの森』大量虐殺

当時、
ポーランドは、
ナチスドイツとスターリン率いるソ連の
戦地になり、ドイツとソ連で領土を分割しあうなど、
ポーランド領内で鍔迫り合いを繰り返していました。朝鮮戦争時の
韓国と北朝鮮を想像していただくと、わかりやすいかもしれません。

事件発生は1940年4月。
スターリンの命令により、
ソ連は収容所に収監していた
ポーランド将校1万人以上を殺戮(銃殺)

その背景には、
①第2次世界大戦勃発前に、
 ソ連はポーランドと戦火を交え、
 ソ連は、そのときポーランドに破れた。
 そこからくる“怨み”
②第2次世界大戦終了後。
 仮に勝利を収めたとしても、
 ①の背景から、ポーランド単独で
 ソ連に反旗を翻す可能性が高い。
 だから、その芽を事前に摘んでしまう

ソ連の思惑通り、戦争には勝利を収める。
しかし、ソ連は、『カティンの森』大量虐殺を
ナチスドイツの仕業と捏造。諸外国にも喧伝し、
ポーランド国内においても、わざわざ嘘の映画を作り
公園など街頭で、ナチスが犯した罪だと、大スピーカーで流す。

つまり、ポーランドは
国際的には、ポーランドという国名は残ったものの、
実質は、ソ連。戦争が終わっても自由がないのは変わらない。

履歴書に「父は1940年、ソ連によりカティンの森にて殺された」
提出すると、ソ連をドイツに訂正するように求められ拒否をすると、反逆分子として収容。

墓碑に「1940年、ソ連によりカティンの森にて殺される」
教会では受け入れを断られ、家族墓に立てるも、同文部分のみ破壊される。
そして、墓碑を立てようとした当人も、反逆分子として収容。

この事実を認め、ソ連が謝罪し、
自由に表現できるようになったのが1990年。
事件発生から50年後ですから、なんと半世紀にも及びます。

その長きに渡って、なんの自由もないなんて
“恐怖”“不気味”“おぞましさ”明るい言葉がなにも出てきません。

◇   ◇

アンジェイ・ワイダ監督は、
実際に父を、同虐殺で失い、同作を製作したそうです。
出演者の中にも、同虐殺で、親戚を失ったかたがいらっしゃいます。

①虐殺された将校でなく、
 その将校たちを待つ妻なり娘なり、家族の視点で描く
②『カティンの森』大量虐殺のすべてを、自分が描くのでなく、
 今後、若い世代が、同虐殺について、製作をするキッカケになりたい

この2点に気を使われたそうです。

ラスト、
真っ暗なスクリーンに流れる
“ポーランド・レクイエム”

無音のエンドロール。
口元を両手で覆ったまま、固まってしまうのでした。

☆彡     ☆彡

色々な戦争に関る映画を観て来ましたが、
まさか、こんな事件があったとは、今作を観るまで知りませんでした。

きっと、世界には、
まだまだ私たちが知らない事件が隠されているのでしょう。
そんな事件は“ない”と信じたいのですが・・・。

アンジェイ・ワイダ監督、
魂こもる渾身の一作を、是非ご堪能あれ。

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septaka

4.5迫ってくる想い

2009年12月21日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

こんな救いがないように見える映画をなぜ、撮るんだろう?
映画を見終わったとき、そんな疑問をもった。
それほど、沈痛な思いにさせられる映画だった。
でも、ここで思考停止になったら、
それこそ、この映画を見た意味がなくなるのではないか。

僕は考えた。

ドイツとソ連の中間にあるポーランドの悲劇がこれでもか、
これでもか、と次々に描かれる。
夫を待ち続けるアンナとニカという母と娘の主人公はもちろん、
兄の本当の消息を知って、国家に反逆する妹アグニェシュカ。
国家の意図を無視して、ポスターを破っただけの若い学生とそれを
助ける女子学生。そこに芽生えた淡い初恋。
唯一の救いになると思われた出会いも、あっという間に夢と消える。
そして、大量に、機械的に殺されていく捕虜たち。

戦争は悲惨だ。
それはわかっているつもりだ。
でも、戦争が終わり、一見、安定を保っているようにみえる社会にも、
実際は大きなタブーが横たわっている。
そこに描かれた普通の人たちが、当たり前に、真実を語れない世界。
語った瞬間に、国家に反逆したことになってしまう恐ろしさ。

でも、ほんとうに恐ろしいのは、現代に生きている自分にあるのではないか。

こんな映画は見たくない。救いようがない映画だ。
この映画のことを絶対見ちゃだめだよ、後味が悪すぎるから。
とアドバイスをくれた人がいた。

アンジェイ・ワイダ監督は問いかけているのではないか?
そういったいわば飼いならせれた感性に。
そのことに、疑問を持たなくてはいけないのではないかと。

アンジェイ・ワイダが、なぜこの映画を作ったのかという問いかけ、
それは、僕自身への問いかけにつながっていくのだと思った。

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