胸騒ぎのレビュー・感想・評価
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中盤までは“気まずい系サスペンス”として斬新で秀逸
デンマーク出身で監督・脚本を兼ねたクリスチャン・タフドルップは、休暇を過ごしたイタリアで出会った家族の家を6カ月後に訪れ、気まずい思いと我慢を強いられる羽目になった経験から本作の着想を得たという。
都会暮らしのデンマーク人夫婦ビャアンとルイーセとその娘が、旅先で意気投合したオランダ人夫婦の自然に囲まれた家に招かれる話。オランダ人夫婦は気さくで社交的で、言語障害があるという幼い男児は陰気な印象であるものの、ビャアンが特に乗り気になり妻と幼い娘を車に乗せてオランダの田舎へ週末旅行に出かける。
監督の実体験が基になっているように、よく知らない家族から自宅に招かれた時の気遣いや遠慮、部屋や食事を提供してもらっている負い目や申し訳なさといった心理状態は、たいていの人が共感できる部分だろう。ほかにも、街中や店内などで幼い子を厳しく叱りつけている親を見かけた時のいやな気持ちなど、誰にも身に覚えがあるような気まずさ、困惑、不快な感覚を巧みに織り込んで緊張感をじわじわと高めていく序盤から中盤が秀逸で、“気まずい系サスペンス”とでも呼ぶべき新たな分野を開拓しつつあるのを目撃した思いがする。打楽器とストリングスで不穏な気配を醸し出すBGMも効果的だ。
ビャアンが自分たちの絶望的な未来の可能性を知ってからを終盤とするなら、ここからはまあまあありきたりなホラー展開になってしまうのが惜しい。ビャアンは知り得た情報をなぜ家族と共有しないのか。なぜ死に物狂いで運命に抗おうとしないのか。そうした大勢が抱く違和感よりも、結局はタフドルップ監督が決めたエンディングに至る筋書きが優先されたのだろう。中盤まであれほどリアルだったビャアンたち夫婦の心理や言動が、終盤で急に作り物っぽくなるというか。
なお、2022年製作の本作はハリウッド版リメイクが順調に進み、今年9月に米公開予定。主演のジェームズ・マカヴォイが、招かれるゲスト側ではなくホスト側の夫を演じるというから、ストーリー上のひねりも大いに期待できそうだ。
最後まで目を背けずに見終えることができるか
傑出した作品が近年生み出されている北欧ホラーから新たに届けられた悪夢のようなヒューマンホラーです。人間の悪意や恐ろしさを描いていて、見た後は、あなたの知人や友人が信じられなくなってしまうかもしれません。
見ていくうちに誤解や違和感が増していき、戻らなければいいのに! という願いは、映画的なお約束によってことごとく打ち砕かれることでしょう。ホラー映画好き、恐怖好き、痛いシーン好きな人でも、最後まで目を背けずに見終えることができるかで、その濃度が試される作品です。
One Screwed Up Movie
In Speak No Evil, as a psychological horror film, it's clear from the start that something is amiss with the hosts of this family vacation, but it is far from predictable. Towards the end the film crosses lines that might categorize it as exploitation. There's nothing to feel good about walking away this film, which clearly was the intent. Indeed, a fathomable nightmare at the worst scale.
『セブン』、『ミスト』に比肩する、すなわちもう二度と観ないけどまごうことなき傑作
デンマークから家族と共にイタリアの閑静な田舎のヴィラを訪ねたビャアンは同じく家族連れで宿泊していたオランダ人のパトリックと意気投合。数週間後ビャアン達のもとにパトリックから自宅に泊まりにこないかと誘う招待状が届き、快諾したビャアン達はカーフェリーでオランダに渡り人里離れた家を訪れるがそこでふと感じた胸騒ぎがじわじわとビャアン達の神経を蝕んでいく。
旅先では違和感を感じなかったパトリック達の人懐っこさに潜む強引な押し付けがましさや無作法にイラッとさせられながらも何とか受け流しているうちに侵されたくない領域にまで土足で踏み込まれることになりジリジリと神経をすり減らしていく様は人間関係あるあるに満ちていて観ているこちらもイライラが募理、不愉快さを回避するための二者択一を何度も何度も試されその度に間違った方を選択をするビャアンがパトリック達の正体に気づくカットにゾッとし、その後目を背けたくなることしか起こらないクライマックスに絶望しエンドロールを眺めている心中にはこの言葉しか残りません。
・・・観なきゃよかった。
『落下の解剖学』では家族内での断絶の象徴だった言語の違いが、本作では二つの家族の間に横たわる断ち難い断絶を象徴していて、お互いに何を話しているか判らない疑心暗鬼が終始不協和音として劇中に響いている感じももうとにかく不快。オランダの歌姫トレインチャ・オーステルハウスの美しい歌声も挿入されたりしているのですがそれも全然耳に入ってこない。嫌なものしか映っていないし嫌なことしか起こらない居心地の悪さに耐え切れなくなってうっかり笑ってしまうことにも我ながらビックリするわけですが、その方向感覚を失った条件反射が本作の肝であることにクライマックスで気付かされてしまうストーリーテリングの巧みさにタコ殴りにされて、監督・脚本を手掛けるクリスチャン・タフドルップに対して殺意すら覚えます。ホンマ北欧映画ってエグってくるなぁ、もう!
ちなみに英題タイトルはSpeak No Evil、悪口を言っちゃいけないという良識がズタボロに引き裂かれる悪趣味に血の気が失せました。
『セブン』、『ミスト』に比肩する、すなわちもう二度と観ないけどまごうことなき傑作。とにかく不快なので興行成績でも25位にも入ってないくらい人が入ってないことに胸を撫で下ろしています。
ということでこれっぽっちもオススメしませんよ、物凄い傑作ですけど。
なんて理不尽な・・・
ホスト側の目的がわからない。
さらって何がしたいのか?
あれだけの数の犯行を犯したら捕まらないか?
ラストは何故抵抗しないのだろう。
娘が連れていかれたのに無抵抗。
あの時確認できた武器はハサミくらいだったのに。
娘の無くし癖がムカつく。
大事ならキチンと持ってろよ。
パンフレット大き過ぎ。
保管に困るよ。
思ったより胸糞悪くはなかったな。
事前に色々な感想を読んでみたけど、もっと胸糞悪いのかと思ってた。
最近は独特な雰囲気の北欧系ホラーが増えてきてちょっと嬉しい。
期待度○鑑賞後の満足度○ 邦題よりも原題の“Gæsterne=「客」”よりも英題の “Speak No Evil”が一番ピッタリくるホラー。怖いシーンは殆ど無いのにゾッとするこれぞホラー。
①コミュニケーションをするための共通語である英語では無難な事を言ってるのに、各々の母国語で交わす夫婦の会話では本音が出てるというのが妙にリアル。
②饒舌な映画ではない。勿論、会話もふんだんにあるのだが、殆ど日常会話の域で恐怖を煽るような台詞は無い。
それでも不穏さや薄気味悪さを感じさせるのは殆ど映像である。
そういう点ではこれ又映画らしい映画。
③隣に引っ越してきた人が実は殺人鬼だった、引っ越したら隣の人が異常人格者だった、ルームメイトを募集したら怖い人だった、突き会ったらヤバい人だった等々といった出会い系、或いはシチュエーションホラーは数々あって、これもその変奏曲の一つだから、とれだけアイデア・プロット・構成・演出が他の有象無象のホラーと差別化されているかがミソ。
④冒頭、曇りガラスを通して何とか見える林の中の舗装されていない道を走っているシーンから不穏。
と、一転陽光眩しいイタリアのリゾートへ。
お互い旅先で知り合い意気投合た一組の夫婦。
オランダ人夫婦の夫の方はやや押しが強くてウザそうだか悪い人ではないみたい。
しかし、
胸クソ悪い系?
タイトルは「胸クソ悪い」にしてほしかった。
中盤までの、他人の家に呼ばれて感じた居心地の悪さとか、他の家族が躾と称して子供に暴力をふるう様への嫌悪感とか、誰もが感じたことがある「いやー」なことの連続は、なかなか堪えるものでした。
後半、悪意の塊の前には、善意や良識を持った人間は無力で、浸食されてしまう恐怖を描いていて。
ただ、ラストはありきたりでつまらない展開になったなと。
見て得た情報を奥さん子どもに共有しない夫の無能ぶりや、嬲られても抵抗しない夫婦の姿に「?」マーク。
連続殺人鬼の前では、助けてと懇願するだけまったく無駄なので、そこらへんにある石でぶん殴り返せ、やられる前に殺れ!どうせやられるなら無駄な足掻きくらいしろよ!
とイライラしっぱなしでありました。
人の家でセックスすな
日常にある胸糞とのことだが、家から出て人と関わってたら、こんなことよくあるしなと思ったし、この嫌な感じを感じたくないから、俺、家にひきこもってるし、友達もいらないんだなと再認識した。というか、招いた家族のほうが失礼という映画のようだが、招かれた側のほうもけっこう失礼よなと思ったな。人ん家でセックスするとか言語道断だろう。前半から中盤にかけてはそんなありふれた日常を見せられて、金払ってわざわざなんでこんなの見せられてんだろうて思った。終盤、さらってから殺すあたりはけっこうリアルに感じたな。死体片付けるとこまでちゃんと描いてほしかった、グロ映画好きとしては。
イヤな映画...😩
久々に胸糞の悪いイヤな映画を観てしまった...
男の子が可哀想で観ていてツラくなっちゃいました。
もう二度とこの作品を観たくありません
ラストの車内ではいくらでも反撃出来たのに、あの旦那はホント弱っちい(笑)
ハリウッドリメイクされるようだけど、最後は反撃して異常者夫婦を逆に崖の下へ突き落として殺すくらいのスリラーアクションにしてもらいたい
想像以上にかなり怖かったです…
観終わった後に余韻に浸りたくなくて(笑)足早に映画館から出て一目散に自分の車に乗った…こんな気分初めて!
(心理サスペンスと思って観てしまったのでした…)
劇中、ゲスト家族が逃げ帰ろうとしてから忘れ物取りに戻ってしまった際、なんで帰りたいのかホスト家族に聞かれて正直に色々な違和感を伝えてしまうよりも、大事な用事を忘れてたから至急帰らなきゃ等の別の理由でとにかく穏便に早く離れよーよって思ってしまった。
(改めて私が人生の教訓と感じた点は…)
素性やバックグラウンドがわからない人の家に招かれても行ってはいけない!
違和感や胸騒ぎて大抵当たるので、我慢するとか相手に合わせることは無意味(てか身を滅ぼす)
忘れ物は潔く諦める(笑)
そして、いざって時…私は全力で反撃して戦いたい!
正常性バイアスの怖さを叩き込まれた…という意味はありましたが、かなりのバッドエンドにダメージ受けてキツかったです…気軽に人に勧められない、覚悟して観てほしい感じです。
なんで子供のダンスのシーンでさっさと帰らないのか… お父さんもヤバ...
なんで子供のダンスのシーンでさっさと帰らないのか…
お父さんもヤバいと気付いて帰り初めた頃には、お母さんはトーンダウンして抵抗しなくなってるし、なかなか噛み合わない夫婦。
そもそもお父さん役立たずだがww
そして最後は2人とも従順すぎて違和感ありすぎた。
どうせ死ぬならひとあがきしないものなのか??
でもいい感じに最後まで胸くそ悪さを感じられる内容だった。
オランダ夫婦の悪行は一種の趣味なのか、目的が最後まで分からなかった。私が見過ごしただけ??
★1かもしれないし、6かもしれない、、、
中途半端は数字はつけられないと思った。★4〜5をつけられるほど、すっきりとはしてないし。でも低評価にしては、
じわる
何故かパンフも買っちゃった。。。
「胸騒ぎ」という邦題を付けた方、お気持ちよくわかります。とにかく、終始「不穏」な空気が漂ってる。冒頭のそれは、間違いなくBGMの効果だと言える。曲が違えば穏やかな家庭の一場面なのに。
旅慣れてない身からすると、まず、一夏の出会いの家族の所に遊びには行かない!これに限る。奥さんが「帰る」と言ったときに帰れば良かった。大体よく知らない人たちなんだから気まずい空気が流れる可能性を予想しなよ。
まあ、そこはいい。ラスト付近、抵抗しなよ!娘が傷つけられたなら怒り狂ってやり返しなよ。それがない。大人しく言う通りに服脱いで、石ぶつけられて、、、パンフには、ここに意味がある理由があると言うけどさ。石打ちにこだわるのがわかんないし。子どもを取っ替え引っ替え何がしたいのかもわかんないし。
と、ここまでアレコレと言ったが、心に残る。残ると言うより引っかかる。忘れられない自分がいる。
わからないんだよ。
あと、夫婦で叡智の場面では上手く裸を隠してるのにラストではモザイクなしでオールヌード。ここもわからないなあ、、、😅でも何年か経って語り草になる作品なのかもしれない。もっと英語でない会話、聴きたかったな。「非英語圏」の映画は、基本的に好きだから
原題Speak No Evilは良きタイトル👅
想像を超えるから怖いのであって記念すべき初の「ホラー映画ソロ観賞」デビュー作品。
現状からの脱却、自分の限界突破、なんかそーゆーのがしたいと思って試みました。「もう見る前の自分には戻れない」とか「史上最恐の胸糞映画」とか事前の触れ込みが凄すぎてめっちゃドキドキはするものの、怖いもの見たさと「心霊系ではない」というある種の安心感(?)からワクドキしながら観ておりました………が…………
学んだこと。
ホラー映画の怖さの源泉って①設定そのものが怖い②純粋に映像が怖い③予想ができなくてコワイ、の3つに大別されるのかな。この作品については①②は無いので、③を如何に楽しむかにかかっていたのかと思うけど、予想通りの展開に戦々恐々としながらも期待していたような捻りもなく敢えなく終了。退場する際にちらほらと聞こえる『もう一捻り欲しかったよねー』の声にみんなも同じ気持ちだったと聞いてちょっと安心。
でもそれならば何故にこの作品の評価がこうも高いのか。みんなが『胸糞』だと言ってる理由はレビュー等を読んでいてわかったけれども、自分自身はそこに全く胸糞感を感じることがなく、むしろ自分には常識的感覚が欠如しているのではないかと不安にすら思えてきてしまった😅
アタシがアタオカかどぉかさはさておき、ソロ観賞デビューは思いの外物足りなさすら感じてしまう結果となったため、もう一本怖そうな映画を連チャンソロ観するという初回から暴挙に出た日曜の夜。
その叫びが届いていれば…
イタリアバカンスで偶然出会ったオランダ家族と仲良くなったデンマーク家族が、お家に招待されて楽しみにおじゃましたものの、いくつもの違和感の果てに…といった物語。
序盤は不穏なサスペンス作品といった感じ。
オランダ家族は初見は良い感じなものの、徐々に徐々に…悪気なくやっているような雰囲気が逆に不気味ですね。
まだまだ直接的でないものの、どことなく積み重なる違和感…なんだこのスッキリしない感じは⁉
と、思いながらいよいよ事が動き出し、オバケホラーなんて可愛く思えてしまう程の戦慄展開に!
ここ最近、仕事のストレスもあり映画でも集中力が途切れがちなワタクシも驚くほど引き込まれる展開‼怖いやら悲しいやら激しい怒りやら湧いてきて…いゃ〜ほんと、どんな気持ちにさせるのが目的だよw
そんなこんなで、嫌〜な気持ちになる作品ですが、色々引っかかっていたアレやコレやが見事に回収されていく様はある意味爽快感を感じるほど!
気軽におすすめできる作品ではないですが、本当に良く出来てるな〜と唸らされた作品だった。
しかし人間不信が深まっちゃいますね〜。
この雰囲気を台無しにしても良いから、エンディングでNG集とか流して欲しくなった(笑)
久々に胸糞映画を見た
オランダ人夫婦の正体は一体何者なのか、警察には連絡がつかないのか、夫婦の間の男の子は一体誰か。もう、救いのないエンディングにげんなりしてしまった。娘もウサギのぬいぐるみくらいしっかり胸に抱えておけ~!
だから私は舌を切る
中盤までの、小さなズレが堆積することによる軋轢が非常に面白かった。
字幕が出ないところは、逆に聞き取れない方がいいのだろう。(何言ってるか分からんのは不安になる)
ルイーセが帰りたくなる気持ちも分かる。
しかし、「肉は断ればよかった」「セックスに夢中で娘を無視してた」というカリンの言にも一理あるのだ。
程度のまったく異なる問題ながら、「娘に指図するな」と言った直後に教育方針に口出しする流れも上手い。
冒頭で「イスをいいか」と訊かれ、占領していたことの“謝罪”でなく“許可”で返した時点でビャアンも大概だ。
3∶7程度の割合で、主人公側にも非があるバランスが絶妙でした。
ただ、終盤で「最初からこうするつもりでした」となると話が変わってくる。
これではそれまでの蓄積が意味を失い、単純なサイコパス映画になってしまう。
最後は、ビャアンが車のキーに目をやる演出があったのに、何故か無抵抗に服を脱ぎアッサリ殺される。
ムハジドまでグルになってあんなことを繰り返している理由も分からない。
そもそも、自力で辿り着いてる時点で手紙に住所があったハズなのだ。
そんな手掛かりが残るやり方で何十件も、そしてこれからも続きますよというのはサスガに無理がある。
(ビャアン達は友人か誰かに話してもいたし)
あんなオチにするくらいなら、両家の不和が臨界を超えて殺し合う方がまだよかった。
舌を切られても、文字は書けるよね。
タイトル通り、胸騒ぎ
ザワザワ嫌な感じ、価値観の違いや違和感、オチまでのそれは存分に味わえましたよ。でもねー…突っ込みどころは満載です。銃を持ってるでもない相手にあんなに無抵抗ですかね。あんなに嫌な思いして1度逃亡したのに、2度目の逃亡での奥さんの鈍感具合…。そしてあの恐慌に走る夫婦の背景が不明…。物語としての説得力は足りないですよ、違和感でザワザワしてます。
【冒頭のヴァカンスのシーンからドンドン不穏な空気が漂い始め、後半に向かってその想いが更に増幅していく作品。再後半は悪夢に出て来そうな、不条理で理不尽で無慈悲極まりない”おもてなし”作品でもある。】
■デンマーク人夫婦のビャアン(モルテン・ブリアン)とルイーセ(スィセル・スィーム・コク)、娘のアウネス家族はイタリア旅行中にオランダ人一家のパトリックとカリン夫婦、”生まれつき舌の無い”アーベルの家族と仲良くなる。
そして、デンマーク人の家族は、誘われるままオランダ人一家の家で終末じゃなかった週末を送る事になる。
◆感想
・率直に申し上げるが、今作、面白怖かったです。
デンマーク人家族がオランダ人家族の家に招かれ、最初は歓待されるが、徐々にオランダ人一家のパトリックとカリン夫婦の異常性が見えて来るシーン。
例えば、レストランに一緒に行き曲に合わせて踊り出すパトリックとカリン夫婦が子供が観ている前で濃厚なキスを交わすシーン。一緒に踊っていたビャアンとルイーセの嫌悪感を隠せない表情。更には会計時に、パトリックが”随分、いったな。”と言ってビャアンに支払いを任せるシーン。
ー あれは、今にして思えばパトリックとカリン夫婦の”獲物が掛かったぞ!”と言う喜びの姿ではなかったか?そして、酩酊して爆音でロックを流して運転するパトリック。ー
・更にルイーセがシャワー中に無遠慮に入って来て歯を磨く(多分)パトリック。更には、パトリックはデンマーク人夫婦の姿を部屋の窓から覗き、アウネスを自分達のベッドで寝かせる。(パトリックは全裸である。)
ー ルイーセは”もう帰りましょう!”と言ってデンマーク人家族はオランダ人家族に挨拶もなしに夜出発するが、アウネスが”大事なウサギのぬいぐるみがない!”とごね始め、Uターンするビャアン。嗚呼。そして、オランダ人家族との気まずい再会。
で、この件からデンマーク人家族はオランダ人家族に愛想笑いをしながら、過ごすはめに・・。-
■ちょっと怖かったシーン
1.アウネスとアーベルが両家族の前で踊るシーン。
アーベルの踊りが駄目だと言って激昂し、カップまで叩き割るパトリック。
- 再後半の展開を見れば、納得。一番怖いのはそれを笑顔で観ているカリンである。-
2.イタリアでは医者だと言っていたパトリックが、実は無職だという事が分かるシーン。
- ”指図されて、働くなんてまっぴらだ!”ー
3.ビャアンがオランダ人一家の屋根裏で観たモノ。
- 多数のカメラと、キャリーケース。そして、貼られていた無数のオランダ人一家と見知らぬ一家の写真。オランダ人一家の子供はアーベルではなく、どの写真でも別の子が映っているシーン。ここで、大体オランダ人一家の正体と生業が分かるよね。-
■物凄く怖くて、悪夢に出て来そうな、理不尽で、無慈悲極まりないシーン
・激しい罵声の後、浴槽に俯せで浮かぶアーベルの姿を見たビャアンが、オランダ人夫婦の家を再び逃げ出すシーン。
だが、車はスタックし、見えた家にビャアンが掛けこむも無人。
そこにやって来たパトリックの車の中にいるルイーセとアウネスと、無表情のカリン。
そして、ビャアンもパトリックの助手席に乗せられ、激しく殴打されルイーセが抱きしめていたアウネスの舌を・・。そして、最初、歓待してくれた手伝いの男はアウネスを連れて行く。
更には、ビャアンとルイーセを車外に出し、パトリックが冷たい声で言った言葉。”服を脱げ。”二人は、観念したのか諦観したのか言われるままに全裸になり、石が転がる窪地に下りていく。
そして、二人が身体を寄せている所に投げられる多数の岩。
ー 岩が頭にぶつかり地に斃れる全裸の二人。人間の尊厳迄奪い取るような無慈悲極まりない殺し方である。-
<今作は、冒頭の幸せなヴァカンスシーンから、雪崩のようにデンマーク人の家族が辿る終末迄の過程を、不穏感が尋常でない雰囲気の中描き出した不条理で理不尽で無慈悲極まりないオランダ人夫婦の”おもてなし”作品である。>
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