バティモン5 望まれざる者のレビュー・感想・評価
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期待していただけに残念。
主演の女優は魅力的で演技もよかった。映像も美しい。
ただ、ストーリー展開についていけなかった。
いくつかの点で無理があると感じた。
まず、重要な役どころである市長代理の心理描写だ。
行きがかり上の義理と、加えて単純な名誉欲から市長代理を請け負ったノンポリ男が、最後には、非人道的で強引なスラム潰しを指示するに至るまでの内面の変容、葛藤などに説得力がない。取ってつけたようないくつかのエピソードはあるが、いかにも弱い。
また、主人公の女性が市長選に立候補するくだりも、その後の展開が全くなく意味不明だった。選挙戦で争うはずの市長代理と敵対して、それが前述の彼によるスラム潰しの動機に結びつくというのなら、あまりに単純だ(そうした非人道的な施策が票に結びつくとも思えないから、単なる私怨レベルの感情的な行動ということになる)。
そして何と言っても、スラムアパートメントの強制退去シーンが無茶苦茶だ。
いくら老朽化による崩壊の危険性を理由にしたとしても、事前に何の通達もなく突然住民を追い出すことなど出来るはずもない。
一応、舞台はフランス国内なのだ。
話の展開としては、その無慈悲な行政のやり方に感情を抑えきれなくなった主人公の1人が、最後に市長宅を襲うことになるわけだけれど、そもそも強制退去自体にリアリティがないから、結果的にクライマックスへの展開にも感情がついていかなかった。
この手の社会的テーマを扱う映画なら、リアリティは命のはず。
どうしてこうなってしまうのか、よくわからなかった。
イヴの夜のプレゼント。
再開発計画という体でエリア一掃(老朽化の進んだ団地)をもくろむ行政と、それに反発し自分達の住まいを守ろうとする住人達の話。
前市長の急逝で臨時市長となったピエールがバティモン5の復興と治安の改善とで動き出す。
始まって早々寝落ちしそうになってしまって話を全て把握出来てないんですが、スラム化した団地はちゃんと契約したうえで住まれてるんですかね?それとも無許可というか占領?話の途中「無許可で食堂…」みたいなセリフもあったので…。
ちょっと市長の強引なやり方でイヴの日に団地を追い出された住人達、その傍らクリスマスイブを楽しむ市長の家族…、その家に殴り込みに行くブラズの気持ちは、分からないわけでもない。
あの裏切った彼のBM燃やしたのはアビーですよね(笑)
【フランス地方自治行政の理不尽な仕打ちに対し、10階建ての古びた団地”バティモン5”に住む移民居住者たちが受難に耐える姿や、住民達の怒りが炸裂する姿をラジ・リ監督が熱くも悲しく描き出した作品。】
ー ラジ・リ監督は、シリアを始めとした海外からの居住者が多数を占める”バティモン5”と呼ばれるパリ郊外の都市、モンフェイルにある団地で暮らしていたそうである。
そして、地方自治の腐敗を数々、目にして来たそうである。-
◆感想
・冒頭、古びた団地が爆破され、再開発計画のスピーチをするはずの市長にまで爆風が襲い掛かり、市長が心臓発作で急死するシーンから今作の流れが予想できる。
・有色人種のフランス人、アビー(アンタ・ディアウ)は”バティモン5”の住人で、移民たちのケアスタッフとして働いている。
一方、新市長となった小児科医でもあるピエール(アレクシス・マネンティ)は、今までの旧弊的な行政を立て直したい、”バティモン5”エリアを復興したい、と思っている。
ー だが、そんな彼も思うように行かない”バティモン5”の再開発が進まない状況に焦りを隠せないのである。-
・アビーは、それでも行政の奢りと怠慢に怒りを覚えたアビーは、ピエールに対し”次の市長選に立候補する!”と挑戦状を叩きつけるのだが・・。
ー ココから、市長選の流れになると思っていたのだがなあ・・。-
・だが、ピエールのクリスマスイヴの急な団地からの退去命令が、それまで市の行政の対応の遅さに苛立っていた住民たちの怒りを買って行く流れが、観ていてキツイ。
団地の急な階段を、エレベーターが何年も故障しているため手で冷蔵庫を持って運び出そうとする家族や、ベランダからマットレスや小物を投げたり、紐で吊るして降ろしたり・・。
■以前から行政に対し不満を抱いていたアビーの友人であるブラズは、到頭怒り心頭に達し、市長が不在のクリスマスイヴの準備をしていた家に乗り込み、”クリスマスイヴに家を退去させられた思いを感じろ!”と言い放ち、ガソリンを撒き散らすのであるが・・。
このシーンを見ていると、行政と住民の意志が全く噛み合っていない事や、行政が住民との話し合いの場を持たずに、退去命令を出す事など、地方自治機能が全く機能していない事が分かるのである。
<今作は、フランス地方自治行政の理不尽な仕打ちに対し、10階建ての古びた団地”バティモン5”に住む移民居住者たちが受難に耐える姿や、住民達の怒りが炸裂する姿をラジ・リ監督が熱くも哀しみを持って描き出した作品なのである。>
確かにあなたの知る「パリ」ではない
・台詞回しが字幕のせいではなく単純に下手
・行政=悪、移民=善の単純すぎる善悪二次元論
・予告なしに強制退去が始まったり、お偉いさんの家に誰も警備がいないとツッコミどころ満載
確かにあなたの知る「パリ」ではなかった。
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