劇場公開日 2024年5月31日

美しき仕事のレビュー・感想・評価

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4.0躍動する身体は、青の衝撃…自分らしさを取り戻せ!

2024年6月1日
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囚われた葛藤の先に辿り着くのは、他人と比べたり、他人の目ばっかり気にせずに、もっと自分らしい動きで自由に生きようよ、という"自分"の奪還。
軍隊の訓練とは上官の指示に絶対服従するため、基本的に個性を剥奪するものだ。それは本作でも揺るがず、同じ頭(髪型・坊主頭)で同じ動きをひたすらにして="規則性"に満ちた・秩序だった"美しき仕事"。一見意味のわからないような動きでも疑問を挟む余地もなく。それが作中、変にコミカルにも映ってくる。訓練、警護、洗濯、アイロン掛け、外出…その繰り返し。だから、"出る杭は打たれる"?人を惹きつけるという"個性"は奪えない。
"大義のために生きて死ね"。ただ、実戦があるわけではなく、何も起こらない"平和"で退屈な繰り返しの日々(ex.『ジャーヘッド』)。だから、切迫した状況では気にならないようなことも目について、時間ばかりあるから、ついつい考え事をしてしまう。部下への嫉妬や羨望に駆られるドニ・ラヴァン。それは外国人部隊という場所・集団だけでなく、もっと普遍的に言えることだ。
後悔を超えて、最後に解き放たれる自由。どんなにキレイに美しく振り付け踊られたダンスシーンよりも記憶に残るような一心不乱に躍動する身体が、瞼に焼き付いて離れない。忘れられない。映画史に残るであろうラストシーン。人間が陥りがちな画一性/規則性(没個性)など縛り付けるあらゆるシガラミ足枷なんかブチ破って、自分がそこに存在する意味・意義=本分を見失うな!

ヨーロッパ的で基本的に一定の距離を保ったカメラ位置・構図が、対象やそこで起きている出来事と心理的にも一定の距離を取っているよう。映画館で観れば眠くなるような、家で見ればついついスマホに手を伸ばしてしまうような、そんな作品を包む語り口トーンの中に青い炎が燃えるのを感じた。自分も考えすぎてしまう性格 & すごく他人のこと羨ましく思ってばかりなので、個人的には見ていて共感性高かった。

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とぽとぽ

3.5クレール・ドゥニらしい一作

2024年3月24日
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しかし、解釈が難解に思えた。
映像や肉体美に惚れ惚れしていればそれでいいのだが、
本作のドニ・ラヴァンが演じた役所の複雑さを本来は紐解くべきなのだ。

もっともっとストーリーや心理描写に入り込みたいのに、
美がそれを阻んでくる、そんな風に感じてしまった映画でした。

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JYARI

4.0身体美

2024年3月24日
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鑑賞方法:映画館

外国人部隊の兵士たちの身体や所作の美しさを堪能する映画
肉体美と書くと生々しいので身体美
ラストのドニ・ラヴァンのダンスが見たくて上映を待ち望んでいたので先行上映で見られてよかった
ドニはこういう哀しい役が合う

ドニ監督がル・シネマで上映したのはネネットとボニ以来だと仰っていたので
『パリ、18区、夜。』『ショコラ』『ジャック・リヴェット、夜警』辺りの4K版をル・シネマでの上映待ってます

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m m

2.0美しき仕事 4Kレストア版(横浜フランス映画祭2024) 外人部隊...

2024年3月24日
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鑑賞方法:映画館

美しき仕事 4Kレストア版(横浜フランス映画祭2024)

外人部隊を描いた作品。外人部隊といった色々と訳を抱えた者達が集まる(セカンドチャンスを求めたり)事もあって中々人権が大切にされない。
そんな厳しい環境の中主人公の教官が一人の神兵に目をつけ嫉妬僻みといった感情に駆られていくストーリー。
会話も少なく分かりやすいドラマ性で構成された作品ではない。
音楽やダンス、動きなどでストーリー構成されていったり執筆中の言葉で詩的なそして舞台劇の様な表現が多い。
ジブチの自然の美しさと教官の醜さは分かりやすく対比されていた。
日本では劇場初公開作品。過去の作品を触れるという点では良い経験となった。

個人的な2024年洋画新作鑑賞ランキング
1 ネクスト・ゴール・ウィンズ 4.8
2 Firebird ファイアバード 4.8
3 コット、はじまりの夏 4.7
4 アマグロリア(原題)Àma Gloria(横浜フランス映画祭2024) 4.8
5 コンセント 同意(横浜フランス映画祭2024) 4.7
6 ARGYLLE/アーガイル 4.7
7 アリバイ・ドット・コム2 ウェディング・ミッション4.5
8 バティモン5 望まれざる者(横浜フランス映画祭2024) 4.5
9 デューン 砂の惑星 PART2 4.5
10 愛する時(横浜フランス映画祭2024) 4.5
11 ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ 4.5
12 アクアマン/失われた王国 4.5
13 ニューヨーク・オールド・アパートメント4.3
14 異人たち 3.7
15 ミツバチと私 3.6
16 ブリックレイヤー 3.5
17 ネネスーパースター(原題) Neneh Superstar (横浜フランス映画祭2024) 3.4
18 12日の殺人 3.3
19 コール・ジェーン -女性たちの秘密の電話- 3.2
20 コヴェナント/約束の救出 3.0
21 僕らの世界が交わるまで3.0
22 ストリートダンサー 3.0
23 カラーパープル 2.9
24 弟は僕のヒーロー 2.8
25 RED SHOES レッド・シューズ 2.8
26 画家ボナール ピエールとマルト(横浜フランス映画祭2024) 2.7
27 関心領域 2.6
28 ジャンプ、ダーリン 2.5
29 エクスペンダブルズ ニューブラッド 2.3
30 けもの(仮題)La Bête(横浜フランス映画祭2024) 2.3
31 マダム・ウェブ 2.3
32 落下の解剖学 2.3
33 ダム・マネー ウォール街を狙え! 2.3
34 哀れなるものたち 2.3
35 DOGMAN ドッグマン 2.2
36 パスト ライブス/再会 2.2
37 ボーはおそれている 2.2
38 ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人 2.2
39 瞳をとじて 2.2
40 ゴースト・トロピック 2.2
41 葬送のカーネーション 2.2
42 Here ヒア 2.1
43 美しき仕事 4Kレストア版(横浜フランス映画祭2024) 2.0
44 ハンテッド 狩られる夜 2.0
45 サウンド・オブ・サイレンス 2.0
46 ポーカー・フェイス/裏切りのカード 1.9
47 アバウト・ライフ 幸せの選択肢 1.8
48 サン・セバスチャンへ、ようこそ 1.8
49 VESPER/ヴェスパー 1.5
50 フィスト・オブ・ザ・コンドル 0.5

番外
QUEEN ROCK MONTREAL 5.0
私ときどきレッサーパンダ 5.0
FLY! フライ! 5.0
π〈パイ〉 デジタルリマスター 2.0
ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター版 1.5

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ego