医学生 ガザへ行く

劇場公開日:

解説

救急外科医になる夢をかなえるためガザ地区に留学したイタリア人医学生の葛藤や成長を追ったドキュメンタリー。

将来は救急外科医になりたいと考えるイタリア人医学生のリッカルドは、紛争地域であるガザ地区への留学を決意。爆発性弾丸による外傷についての論文を書いている彼にとって、ガザ行きは医師となるための実践経験になる場所だった。周囲をフェンスで封鎖され「天井のない監獄」と呼ばれるガザに入るためには、イスラエル、パレスチナ自治政府、そしてハマスの3つの異なる当局から許可を得なければならない。複雑なプロセスを経てヨーロッパからの初の留学生としてガザ・イスラム大学に到着したリッカルドは、周囲からの期待と注目に対するプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも、同じく医師を目指すパレスチナ人の若者たちとの交流などを通して、徐々に自分の居場所を見つけ、医師としての使命を確固たるものにしていく。しかし、イスラエルとの紛争が再燃すると、リッカルドは難しい選択を迫られる。

リッカルドがガザで過ごす日々を通して、閉ざされた境界と戦争による苦難にもかかわらず、生き生きと前向きに生きるガザの若者たちや、イスラム大学の様子など、メディアではほとんど紹介されないガザの日常を知ることができるほか、さまざまな文化的な違いなども浮き彫りにする。

2021年製作/88分/スペイン
原題:Erasmus in Gaza
配給:ユナイテッドピープル
劇場公開日:2024年5月16日

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(C)2021 Arpa Films

映画レビュー

4.0ガザとは

2024年4月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

映画で描かれたのは、2018年から2019年にかけての数ヶ月とのこと。
イタリアの医学生が、エラスムス制度での留学先としてガザを選び、ガザでは初の留学生として受け入れられる。現地の人たちとの交流を通して成長していく姿を追ったドキュメンタリーだ。
(早大の岡真理先生が舞台でガザの解説をしてくださり、更に深く理解できありがたかった)
この映画で出てくるのは、ガザのひとつまみの富裕層で、大多数のガザの人々の暮らしとは違うとのことだか、
理不尽な爆撃や恐怖がすぐそこにある暮らしが描かれている。
映画を通して、ガザの人々のあたたかさや普段の生活を近くに感じることができる。ガザの人々の1人1人の人となりが鮮明になり、自分の中で息づき始めた感覚だ。
ここに出てきたみんなは今どうしているのか。。。
連日のイスラエルによるガザへの攻撃。
もはや、テロの報復なんかではなく、ジェノサイド、民族浄化を目的としているのは明らかだ。

これに対して、世界は日本は我々は、何もできないのだろうか。
ウクライナ侵攻は相手がロシアだから西側は一致団結して反対を唱えるのとは対照的に、
パレスチナでの惨劇は、イスラエルだから、世界が口を閉ざす。イスラエルの後ろ盾のアメリカも資本力のある国内勢力があるからパレスチナ支持を継続する。
21世紀の今、これだけのジェノサイドが行われても、我々は何もできないのか。
こんなことが許されている現実について報道さえもされない。
「この問題は難しい」の一言で思考停止になっている。
「ガザとは何か -パレスチナを知るための緊急講義-」(岡真理著)は、2023/10/7に端を発したパレスチナ攻撃後に、京大と早大で講演された内容を元にしたもので、非常に分かりやすく、私たちがなすべきことを訴えかける。
「イスラエルとは何か」を問うべきだ、と。

イスラエルによる軍事占領が約60年も続き、死と隣り合わせで生き抜いている。マスメディアでは語られない、語ることができない、ガザの人々の様子を垣間見ることができるのはありがたく、身近に感じることができるのは映画ならではだ。
パレスチナ人は、私たちと同じ人間だ。こんなにあったかく人間味のある人達だ。こんな当たり前のことが抜け落ちて、攻撃をし、そして世界がそれを許し続けてしまっている。半世紀をとうに越えての長きに渡るこの惨劇を。
1人でも多くの人に知ってほしい。

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ゆ