シド・バレット 独りぼっちの狂気

劇場公開日:

解説

ロックバンド「ピンク・フロイド」の創設者として知られるシド・バレットの謎に包まれた人生をひも解いたドキュメンタリー。

ピンク・フロイド結成時の中心人物でありながらも、5年あまりで表舞台から姿を消し、巨大化したピンク・フロイドのインスピレーションの源としてロック史の伝説となったシド・バレット。ピンク・フロイドのメンバーはもちろん、実妹ローズマリー、幼少期の友人や美術学校時代の学友・教師、ザ・フーのピート・タウンゼントやブラーのグレアム・コクソンといったミュージシャン、さらに歴代のガールフレンドまで、数十名による証言と記録映像、幻想的な映像パートを交えながら、彼の“狂気”と“天才”の真相に迫る。

レッド・ツェッペリンやピンク・フロイドのアートワークで知られるアート集団「ヒプノシス」のメンバーにしてシドの旧友でもあったストーム・トーガソンが監督とインタビュアーを務め、トーガソンの死後は映像作家ロディ・ボガワがその遺志を継いで決定版を完成させた。

2023年製作/94分/PG12/イギリス
原題:Have You Got It Yet? The Story of Syd Barrett and Pink Floyd
配給:カルチャヴィル
劇場公開日:2024年5月17日

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(C)2023 A CAT CALLED ROVER.ALL RIGHTS RESERVED. (C)Syd Barrett Music Ltd (C)Aubrey Powell_Hipgnosis

映画レビュー

3.0ドラッグ文化の功罪

2024年6月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

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MANU

3.5◇ サイケデリック伝説

2024年5月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 1967年、サイケデリックムーブメントのピークを迎えた年。その象徴とも言えるビートルズの名作『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』が製作されていた隣りのスタジオで、ピンクフロイドのファースト・アルバム『夜明けの口笛吹き(The Piper at the Gates of Dawn)』が作られました。

 当初、ピンクフロイドは、シド・バレットのワンマンバンドとされてました。ドラッグによる幻覚を再現したサイケデリック・ロックの世界に飲み込まれるように、デビュー間もなくLSD過剰摂取による性格破綻を理由に、彼はバンドを去ることになります。

 その後のピンクフロイドはサイケからプログレへと展開して商業的にも成功を収めます。特に『狂気』(The Dark Side of the Moon)1973はロック史に残る名盤の一つとされます。売り上げ5000万枚以上、Billboard 200に15年間(741週連続)にわたってのランクインはギネス記録でもあります。

 大仰でドラマ仕立て、過度に技巧的なピンクフロイドの長い楽曲。中心に深い闇を内包していて、ブラックホールのように引き込まれる魔術的な力を秘めているようで、その魔力にシドバレットの影が残存し続けていることに改めて気付きます。

 一人の繊細過ぎる天才芸術家を懐かしむ数珠繋ぎのインタビュー、内面風景を象徴する幻想的なイメージ映像。確かにそこにシド・バレットは存在していたはずなのに、どこか虚に儚く感じます。光と影、天才と狂気の両義性を持つサイケな男の神話化の物語。人の心の奥底の中心にある空洞-空虚感と共鳴するようなドキュメンタリーでした。

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私の右手は左利き

3.5もう少し情報を追加してほしかった

2024年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

沢山の人がインタビューされているが、元ガールフレンドなど一般人以外は名前が紹介されない人が多かったような。ミュージシャンに違いないと思いつつも誰だかわからなかったり、1回目のみだと後に再登場した時に「誰だったっけ」となるので、もう少し(『ロックフィールド 伝説の音楽スタジオ』ぐらい)情報を追加してくれたほうが見やすかった。

脱退に至るまでの経緯や、2枚のソロアルバムについてはD・ギルモアらが協力したことが確認できたけれど、その後の彼の足取り、音楽活動が続けられなくなった後のことはサラっと触れておしまいなので、ちょっと食い足りない気もする。それまで分かったつもりになっていた点を確認・修正する価値はあるけど、果たしてちゃんと医療的診断が出ていたのか、然るべきケアを受けていたのか、寛解したから自宅で過ごしていたのかとか、世話をしていた人とどんな会話があったのか、絵を描いては破壊していたとしても残っている作品もちょっとだけ映像が出るけど、実際何がどれくらい残っているのか等、謎が解明されたというよりは、疑問が増えるような感じがあった。

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Shiro

5.0炎 燃え尽きてしまう男 それは21世紀の私達のことなのかも知れません

2024年5月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

シド・バレット 独りぼっちの狂気
2024年公開
シド・バレットが何者かを知らなければ本作を観てもなんの意味も無いと思います
そもそもピンクフロイドが何なのか自体知らないなら、本作を観るのは時間の無駄です
そのような人が無理に本作を観て理解しようとするのは全く時間の無駄です
ましてその不毛な体験をレビューに書くのは不愉快な思いで腹いせを書くだけの行為になるだけだと心からそう思います

一方でシド・バッレトの名前を知り、彼の楽曲も大昔から聴いて来たようなカルトに頭のてっぺんまでドップリ浸かっている人ならばとうに知っていることばかりで、ものたらない映画だと辛辣なレビューになってしまうのも理解できます

そのようなカルトな映画です
だから観客動員なんて見込める訳も有りません
日本公開されただけでも奇跡です
ピンクフロイドの名前ぐらいは、古くからの音楽好きならば今でも少しはいるだろうという配給会社の期待だったと思います
だからあっという間に公開終了になると思い慌てて劇場に行きました
平日の真っ昼間だったので、観客は自分を入れて良くて2~3人程度と思っていました
しかしビックリしたことに20人程も観客がいるではないですか!
そんなにも沢山の客入りがあるなんて目を疑いました
さすが神戸というべきだったのかも知れません

何故そのようなカルト的な映画が2023年に作られて今年公開されたのか?
それは一体何を意味しているのか?
それを理解している人がこんなにもいることに驚愕です

映画ではシド・バッレトと接していた当事者本人がカメラに向かって直接語っています
いままでの又聞きや伝聞による文章で作られたどこまでが真実で、どこかが虚像なのかも明確では無かったのです
シド・バッレト本人と、その当時のピンクフロイドの嘘偽りのない真の姿が本作で初めて確定した真実として教えてくれたのです
本作はそこに意味があるのだと思います

シド・バッレトの精神が、彼が脱退してもなおピンクフロイドのサウンドの核そのものであること

ピンクフロイドの最高傑作「狂気」は1973年の発表であり、去年2023年がその50周年であったこと
そして、そのアルバムは世界で5000万枚も売れた世界で最も売れたロックアルバムであること
それ故に本作が作られたこと

そんなことは本作を観る人ならば、百も承知のことでしょう

シド・バッレトが何者なのか
ピンクフロイドが何なのか
本作ではそんなことは、本作を観に来る者ならば当然知っていることとして一切説明されません
証言する多くの人物も名前のみの紹介で、本作を観る人ならばそれで十分だろうという映画です
自分もそれをここでいちいち書くつもりもありません

それでいいのです
分かる人だけが分かる映画というものがあっても良いと思うのです
知らない人が本作を観て無理に知ろうとする必要も有りません

シー・エメリー・プレイがまさか劇場で大きな音響で21世紀に流される日が来るなんて夢にも思いませんでした
短くたってそれでいいんです
だってレコードは家にあるんですから

アート集団ヒプノシスが関わったのが明らかな映像が含まれていたのは驚きと共に大きな喜びでした

ボブ・マーリーの映画も不思議なことに2024年の同じ時期に公開されました
彼の活動時期はピンクフロイドと重なっていたのですから

半世紀50年の昔のこと
そんな大昔のことを懐かしむ?
なるほどそんな映画かも知れません

しかしボブ・マーリーの「エキソダス」が21世紀の私達に今必要なメッセージを発信しているように、本作もまたなにかしら21世紀に生きる私達の心に突き刺さるメッセージを発信しはじめているような気がしてならないのです
心のどこかでシド・バッレトを探していたことを突然思い出したかのように

Wish you are here
あなたがここにいてほしい

分断され人々はみな孤立してしまう
世界中の人々がみなそう思うような時代に、21世紀はとうとうなってしまったのです
だから予想を上回る人が劇場にいたのだと思うのです


燃え尽きてしまう男
それは21世紀の私達のことなのかも知れません

今夜はShine On You Crazy Diamondを聴きたい
そんな気分です

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あき240