先生、私の隣に座っていただけませんか?

劇場公開日:

先生、私の隣に座っていただけませんか?

解説

黒木華と柄本佑が演じる漫画家夫婦の虚実が交錯する心理戦を描いたドラマ。漫画家・佐和子の新作漫画「先生、私の隣に座っていただけませんか?」。そこには、自分たちとよく似た夫婦の姿が描かれ、さらに佐和子の夫・俊夫と編集者・千佳の不倫現場がリアルに描かれていた。やがて物語は、佐和子と自動車教習所の先生との淡い恋へと急展開する。この漫画は完全な創作なのか、ただの妄想なのか、それとも夫に対する佐和子からの復讐なのか。現実そっくりの不倫漫画を読み進めていく中で、恐怖と嫉妬に震える俊夫は、現実と漫画の境界が曖昧になっていく。佐和子役を黒木、俊夫役を柄本が演じ、金子大地、奈緒、風吹ジュンらが顔をそろえる。監督は「ANIMAを撃て!」「いたくてもいたくても」の堀江貴大。オリジナル企画のコンテスト「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2018」の準グランプリ受賞作品の映画化。

2021年製作/119分/G/日本
配給:ハピネットファントム・スタジオ
劇場公開日:2021年9月10日

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(C)2021「先生、私の隣に座っていただけませんか?」製作委員会

映画レビュー

3.0面白いと面白そうの隙間。

2021年10月5日
PCから投稿

安定の黒木華も、コメディリリーフとして情けない男を全身で演じる柄本佑もいいし、奈緒演じる腹の座った若い編集者のキャラも良かった。マンガのネームを読むことで自分の浮気の発覚と妻の浮気疑惑に取り込まれていく夫、というアイデアも面白い。いや、面白い、はずなんだが、シーンのひとつひとつはそこまで面白くなく、クライマックスは予定調和のためにずいぶんと時間を取られるのも、いささか退屈に感じてしまう。「あれ、面白そうだけど、これ本当に面白いっけ?」と、もっと面白くなるであろう伸びしろばかりを観ていたような感覚だった。つまらないわけではない。ポテンシャルのその先までたどり着けなかったことが歯がゆい。

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村山章

4.0これは、書いてある事が現実化する恐怖新聞、いや恐怖漫画? あるいは人間関係を改善に向かわす手段の漫画か?

2021年9月10日
PCから投稿

本作は2015年からスタートした「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2018」において準グランプリ受賞作品の映画化です。
初代グランプリを受賞した「嘘を愛する女」は、長澤まさみ×高橋一生の主演で2018年に大規模公開されています。本作は、4回目の2018年で受賞し、黒木華×柄本佑の主演で映画用に映像化された作品なのです。
この新しい試みは、今のところ映像化された作品を見ると、まだまだ当たりと外れの落差が大きく「現状では未知数な面が強いコンテスト」というのが率直な感想です。
ただ、本作を見ると、少し希望のようなものが見えてきました。
それは単純に、この作品が面白かったからです。
まず、本作の主人公の佐和子と夫の俊夫は同じ漫画家です。
連載が終了し、次の作品の構想を考えるタイミングで佐和子の母親が事故にあいます。
そこで免許証を持っていない佐和子を車に乗せて夫婦で実家に行くのですが、佐和子はこの機会を使って自動車教習所に通います。
そして、新作漫画のネーム(さっと描く下描き)をどんどん思いついて描きあげていきます。
それを夫の俊夫が覗くと、自分たちの話が描かれてあり驚きます。
「果たして、この漫画は、空想の話なのか、あるいはリアルな話なのか?」
この問いかけがずっと続き、どこからが本当でどこまでが空想なのかが夫だけでなく、見ている私たちにも分からなくなるのです。
このパターンだと、割と抽象的に終わるケースが多いのですが、本作ではキチンと結末も描かれている点が評価できます。
本作の良さは、「登場人物のシンプルさ」にもあって、舞台が実家なだけあって不自然ではないのです。そして、黒木華と柄本佑の演技に加え、2人の担当編集者役の奈緒も、あっけらかんとした上手い演技をしています。
このチャレンジングな試みはオリジナル企画コンテスト「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM」だからこそ生まれたと言えそうです。見る価値は十分にあると思います。

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細野真宏

4.02019年の「ジョーカー」に通じる、現実と妄想を曖昧化する仕掛けで楽しませる“大人の恋愛”ミステリー

2021年9月5日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

知的

本作はオリジナル脚本(TSUTAYA主催のオリジナル企画コンテストで準グランプリ)の映画化だが、たとえば「イニシエーション・ラブ」や「去年の冬、きみと別れ」など、高評価のミステリ小説のトリックと種明かしを巧みに映像化した秀作群に肩を並べるほど、鮮やかな仕掛けにうならされた。

連載を完結し次の企画を思案中の売れっ子漫画家・佐和子(黒木華)と、元人気漫画家で今は佐和子のアシと主夫業が中心の俊夫(柄本佑)。佐和子を担当する女性編集者と俊夫は不倫の仲だが、佐和子が自動車教習所に通い始めた直後に書き出した次回作のネームを俊夫が盗み見ると、そこには俊夫の不倫現場がリアルに描かれ、さらには佐和子と教習所の先生の恋の芽生えをほのめかす描写も…。

ネームの内容を俊夫が目にして脳内で再現する妄想の映像が、最初のうちは現実パートの映像と分かりやすく区別されているが、映画が進むにつれて次第に曖昧になっていく構成は、トッド・フィリップス監督・ホアキン・フェニックス主演作「ジョーカー」を思い出させる。黒木華は表向きにこやかで柔和で、しかし裏で何かを考え企んでいる佐和子を魅惑的に演じた。

不倫に対する道義的な視点や批評性はほぼゼロで、悪く言えば重みや深みに欠けるが、良く言えば軽やかさをもたらしている。目くじらを立てず、大人の恋愛ミステリーと割り切って楽しむのがよさそうだ。

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高森 郁哉

4.5まんまと騙されてしまった

2024年5月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

漫画家どうしの夫婦、夫の不倫に気づいた妻の次回作は実話を描いた作品だった。
妻のネームを盗み見した夫は、妻の通う教習所の指導員と関係を持つという内容に狼狽える。
この作品の見どころは、妻側の、つまりサワコの体験がトシオの視点を通してフィクションかノンフィクションかという問題に迫るところだろう。
小心者の夫トシオは、編集者との不倫を妻に内緒にしているが、妻は早々にそれを見抜いていた。
たまたまサワコの母の怪我によって、二人とも実家にしばらく滞在することでこの問題への焦点がクローズアップされることになる。
面白いのがサワコの描くネーム。リアルなのか妄想なのか。そして彼女の狙いがどこにあるのかということだ。
そのいくつかのパターンが映像として提示されるが、どれが本当なのかわからない。
しかしトシオはやがて自身の不倫問題に真摯に向き合おうとする。
サワコが連れてきた指導員のシンタニ。皆その意図がわからない。シンタニの「ただ今日夕食に誘われただけ」という言葉。
サワコの人物像は母が語る「昔から思ったことを言えなかった娘」
娘の変化 妻の変化 それは間違いなく存在したが、視聴者としては結局サワコがこの問題をどのように決着させるのかに視点が向けられる。
多くは赦しを予想、あるいは期待したはずだ。
サワコとトシオは師弟関係だった。それがいつしか逆転していたことが明かされる。
「もう書くつもりはない」トシオ。
「何を見ても心が動かない」トシオも、妻にとっては「先生」
トシオのペンを入れる能力は、サワコにとっては必要な技術だ。
そのトシオを再び駆り立てるようにネームを描く。トシオも乗り始める。
朝になり隣にいたサワコがいない。家の中にもいない。
サワコの描いた最後のネームを手に取るトシオ。
そこにあったのは家を出ていく二人。つまりサワコは実話を描いていたのだ。
指導員との関係はすべてノンフィクションだったことに驚愕するトシオ。
母だけが娘の変化に気づいていた。娘の心が乙女にならなければスカートなんか穿き続けられないのだ。穿き続けていたことに、リアルがあったのだ。
そして最後に来るどんでん返しがオチになる型。
大抵の人は冒頭サワコの「駅まで送ってあげれば」の言葉に不倫を想像したに違いない。
サワコの変化「スカート」 事実と妄想
しかし考えればこのタイトルは教習所の指導員との関係でも使える。師弟関係と掛けているのかもしれない。
実際はどうなの? という感じて映画を見る面白さがあった。
しかしサワコの心の奥底はなかなか見抜けなかった。

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R41
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