劇場公開日 2022年1月14日

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「怪物ぞろいの色彩をキャンバス上で大胆に使いこなす」ハウス・オブ・グッチ 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0怪物ぞろいの色彩をキャンバス上で大胆に使いこなす

2022年1月16日
PCから投稿

こちとらブランド物とは縁もゆかりもない人間だが、本作の筆運びにグイグイ引き込まれた。名門一家の物語といってもヴィスコンティ映画のように格調高くはならず、愛憎サスペンスと言っても目を覆うほどではない。全ては適度に品位を保ちながらグッチ家の内情へとテンポよく迫っていくが、何より刮目すべきは怪物ぞろいの俳優陣だろう。レディ・ガガの凄みもさすがではあるものの、彼女が一人で暴れるというよりは、むしろ一人一人と対峙し彼らの真価を十二分に引き立てていることを高く買いたい。そしてここで最も怪物性を発揮するのは、やはり出演者の個性を自在に配色するスコット自身だろう。自転車、車、ボート、バイクなど”乗り物”や、随所に現れる”水に浸る”イメージ(それは時として雪や泥になる)を用いた表現も実に効果的。かくなる語り口の鮮やかさゆえ、観賞後は愛憎劇のドロドロに増して、単純明快な「楽しかった」という感情の方が上回った。

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牛津厚信