劇場公開日 2019年8月2日

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「透き通るような世界観で送る学園RPG」守護教師 平野レミゼラブルさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5透き通るような世界観で送る学園RPG

2023年5月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

単純

韓国で女生徒を守護るために常に体を張って奔走する先生の話。
なるほどこれが『ブルーアーカイブ』ですか……
もはやセガール映画同様にセオリーが確立されたいつものマブリー映画であり、透き通るような世界観を守護(まも)るべくユウカの足くらい太い腕から無双の鉄拳が繰り出される!!

女子高の体育教師がマブリー!ってだけで何割かの面白さが確約されるズルい設定ですが、キヴォトスにおける先生同様に本来の教師としての仕事描写は全くなく、ひたすら少女失踪事件を追っているため教師云々はほぼ死に設定です。
ただ女子高生を前にたじたじするマブリー映したいだけだ、これ!!

暴力沙汰だと無敵すぎて一方的にボコれるのに、女子高生や他の教師相手だとたじたじになるマブリーの姿は確かに面白く、あのデカイ体をペコペコさせるだけで笑顔になってしまう。でも本当に教師としての仕事描写が全くないのが勿体無くて、もっとシチュエーション活かしてもいいんじゃないかなァ……

例えば、せっかく体育教師として赴任したんだから授業で脅威の身体能力見せつけて「俺、何かやっちゃいましたか?」とかの描写の一つくらい入れても良い気がするんですけどね。
あまりに本編でのマブリーの役割、女子高生失踪事件追う素人探偵役でしかないですからね。あまり他の作品と差別化できていない気が……
彼を頼るJKに関しても、単独行動多めでその都度捕まったりしては助けられる構図に偏っているのもちょっと気になる。

原題が『村人達』とあるように、閉鎖された場所での事件隠蔽とかがメインですけど、それもあまり独自色とは言えず。因習村ってほど閉じた雰囲気でもないんですよね。
むしろ、村社会でのさばる権力者とか、この手のお約束そのままなキャラ造形が先の読みやすさに繋がってしまい、スリラーとしての面白さはイマイチ。まあ、そもそもマブリーが主人公という時点で安心感が半端なく、スリラーにはどう足掻いても転がらないんですが。

逆にマブリー映画というジャンル映画としてはかなり手堅く出来ているため、一定以上の魅力は自動的に担保されています。
本作のマブリーは、冒頭から八百長を指示するボクシング協会の副会長を殴ってクビになるなど、嘘が嫌いでまっすぐな存在と示すなどキャラクター付けが超絶わかりやすいですからね。
その後も行方不明者の張り紙への落書きに憤り、落書きを消そうとして却って広げる優しさと不器用さも描写。さらに、ゲーセンで可愛らしいぬいぐるみを取ろうとキャッキャする可愛さも映しているため、マ・ドンソクのラブリーなアイドル映画、即ちマブリー映画に必要なものは全部盛り込んでいます。

個人的には、走ってきた女子高生がマブリーにぶつかって宙に浮くレベルに吹っ飛ぶという描写見れただけで「この映画観た価値あったな…!」ってなったかな。「マブリーがんばえー!!」って応援しながら気軽に観る分には最適の映画です。

平野レミゼラブル