劇場公開日 2024年5月3日

「これまで日台合作などの映画は多くあれど、ここまで機能した作品は初めてか。これは「余命10年」の藤井道人監督の手腕によるものか?」青春18×2 君へと続く道 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5これまで日台合作などの映画は多くあれど、ここまで機能した作品は初めてか。これは「余命10年」の藤井道人監督の手腕によるものか?

2024年5月4日
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これまで日台合作の映画は多く製作されていましたが、正直なところそれほど効果を感じなかったり、出来にも課題がありました。
ところが本作を見て驚いたのは、極めて自然かつバランス良く、合作映画の相乗効果を上げていたのです!
私の感覚では、何も「日台合作映画」に限らず、全ての合作映画でベスト級の相乗効果を発揮できていると思います。
これは、台湾の描写から始まり、日本の描写もバランスが良く、主人公の台湾人ジミーの描写、日本人のアミの描写など、無理なく自然に必然性を持ちながら構築できているからでしょう。
本作のメガホンをとったのは藤井道人監督。
文句なく名作だった「余命10年」を撮れた監督なので、やはりポテンシャルが高いのでしょう。
本作も名作と言っても問題はないでしょう。
実際に細かく分析しても、特に無駄なシーンも無ければ、約2時間の尺も問題ありません。
ただ、「余命10年」と比べてしまうと、「大きく心を揺さぶるパワー」のようなものが、やや欠けているのかもしれません。
展開等も含め、本来であれば、もっと「より心を掴むようなシーン」になっていてもよかったと感じるからです。
そういう意味では「楽曲などの使い方の工夫で、もっと高いクオリティーの作品になった可能性」は否めず、強いて言えばそこが減点要素でしょうか。
とは言え、一般の映画としては十分なクオリティーの作品で、見て損はない作品だと思います。

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細野真宏