遺品整理 広島屋

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遺品整理 広島屋

解説

遺品整理業を営む、ある家族の絆を描いたヒューマンドラマ。遺品整理業を通して、核家族化が進み孤独死などが増えた現代社会における家族の在り方をテーマに描く。

父の泰造と、息子の和哉、娘の美咲の3人で遺品整理業「広島屋」を営む広瀬家。ある時、社長である泰造が病気で倒れ、広島屋の経営も厳しくなる。そして、一家の問題児である次男の浩平が刑務所から出所してくる。浩平は実家に戻ってくるが、兄の和哉と大ゲンカになり、再び家を飛び出す。さらに時を同じくして、美咲が何者かに誘拐されて姿を消してしまう。広島屋の跡取りでもある和哉は、バラバラになった家族を元に戻そうと奮闘するが……。

監督を務めた栗本健太郎が、遺品整理の仕事をしている自身の弟の事業にヒントを得て手がけた。主人公一家の父・泰造を演じたダンカンが主演を務め、舞台となっている広島でオールロケが行われた。

2023年製作/83分/G/日本
配給:雷・音
劇場公開日:2024年6月28日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
脚本
若村朱夏
プロデューサー
古川康雄
アソシエイトプロデューサー
井上一馬
協力プロデューサー
平崎勝也
ラインプロデューサー
梶村和彦
撮影監督
森下彰三
スタイリスト
上田加代美
ヘアメイク
河田麻衣
阿部梢
編集
中畠七海
音楽
持山翔子
Tsuyoshi_san
矢神亜希丸
助監督
藤七海
技術制作
光畠麻貴
スチール
竹森敬
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フォトギャラリー

映画レビュー

4.5せっかくの「ご当地枠」がもったいない…。

2024年1月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年32本目(合計1,124本目/今月(2024年1月度)32本目)。

 ※ 当方、18までは広島市在住です。

 タイトルこそ「広島屋」という扱いですが、いわゆる「遺品整理」(ただしこの点後述)を扱い、そのサブ筋というか本筋としては「家族愛」が来ます。広島を舞台にした映画といえば、大きく分けて戦争ものとそれ以外に区別できますが(2分割でわけた場合)、後者になります。ただ映画としては別に広島でなくても成り立つ内容です。

 大阪市で放映されたのが実はかなり「それでも早いほう」で、広島市では先行上映というかフライング上映かをしていて実際に「県外で放映されるのは今回がはじめて」ということであるようです。

 70分ほどのストーリーに色々な問題提起を入れた点は理解できるし、ある程度の広島県のローカルネタ等出る「地元愛」は理解できるものの、パンフレットが易しくないし、トークショーも「観客からの質問を受け付けないタイプ」なので、広島県以外ではかなり理解に苦労する方が出るのではないか…と思えます。

 採点は以下を気にしたものです(4.3を4.5まで切り上げ)。
なお、文章の記述の都合上、採点順番を変えたものがあります。

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 (減点0.1/舞台となる場所がどこかわかりにくい)

 ・ 「広島屋」というくらいなので広島県のどこかだろうという点はわかっても、八丁堀だの何だの広島市内が明確に出てくるところ以外はいわゆる「田舎」ですが、ここは最後まで出るとわかる通り「安芸太田町」(人口7000人程度)というところです(広島市には接するが交通手段がかなり乏しい)。映画では地名描写は一切されませんが(路面電車が走るシーンや「電光石火」というお店でお好み焼きを食べているシーンから広島市が混ざっていることはわかる)、かつ交通手段も何も出ないので「架空の町」みたいになっているのがちょっと残念かなというところです(あの過疎っぷりから広島市でないことは明確にわかるが、もし市内であの過疎っぷりなら超お得物件になってしまいます)。

 (減点0.2/登場人物の一人の「出所」について)

 ・ 刑務所では「満期出所」と「仮釈放」があります。そして何らか本人に今後も教育を必要とすると国が思慮する場合、仮釈放が選択されます。この場合、「反勢力と近づいてはいけない」等の遵守事項を守ることになるからです。そして「反社会勢力の問題」については、特に「下っ端のどうでもいい行為」については刑が軽い場合、「仮釈放制度を利用して組織に頼らなくても過ごせるように指導していく」ことが求められている今日において、なぜ満期出所の設定にしたのか不明です(満期出所の場合、釈放当日に「そうした組織の施設」に行くことも禁止できない)。

 (減点0.4/遺品整理と法律)

 ・ いわゆる「ゴミ屋敷」などと呼ばれるタイプの清掃「それ自体」は法律の縛りはなく、せいぜい常識的な範囲でやってください程度で、法上の縛りはありません。

 ただ、実際に生前に契約していたものの解約や整理、遺言ほかを実行しようとすると、行政書士以上の資格が必要です(不動産登記がからむものは司法書士、あまりに大金すぎる場合は税理士などとなるが、基本となる入口はたいてい、行政書士か司法書士)。これをノーライセンスでやると法律上アウトです(各種士業法上アウト)。

 かつ、映画内では何らこの点でないのに、エンディングロールで突然「なにとか司法書士事務所」と出るので、そこの協力を得られたのだろうということになるし、その指導で作られたのだろうということわかりますが、この点俗にいう「3K産業」であることから無資格者が入ってくる余地があるところ「清掃を超えた行為を勝手にやるとアウト」という点についてはちゃんとトークショーやパンフレットに書いておいてほしかったです。

 ※ 一方、当然のごとく、これらの分野を選択する行政書士・司法書士の方といっても、「実際に」「清掃そのもの」を行うことは少ないので(民間資格にはなるが、いわゆる「特殊清掃」を専門にする職業がいる)、「遺品"清掃"」と「遺品"整理"」は別の概念であり、「遺品"清掃"」を専門にしている民間の方と別途契約を結んで清掃してもらい、行政書士なり司法書士なりが残りの契約通りの作業を行うということになります(もちろん本人自体が清掃することを禁止することではないが、いわゆる「ゴミ屋敷」というような状況だと、そもそも論で、「清掃については素人」の当人では何もできないこともありうる)。

 ※ パンフレットには記載なし。トークショーも20分ほどで観客が手をあげて質問する余地がないタイプの「事前に用意された質問(映画撮影時の苦労話などテンプレ)に答えるタイプ」ものであったため、観客は???というところに行きそうです。

 ※ まぁ、だからといってこの映画の描写がやや描写不完全だということをもって、いきなり「遺産整理業をはじめよう」という方はまずおよそもっていないと思われるので、この点は一応指摘はしますが大きくは引かないというところです。

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