丑三つの村

劇場公開日:

解説

村一番の秀才として人人から尊敬されていた青年が結核と診断され、のけ者にされた怒りに無差別殺戮に走るまでを描く。西村望の同名の小説を映画化したもので、脚本は「恥辱の部屋」の西岡琢也、監督は「もっと激しくもっとつよく」の田中登、撮影は「北斎漫画」の丸山恵司がそれぞれ担当。

1983年製作/106分/日本
配給:富士映画
劇場公開日:1983年1月15日

ストーリー

敗戦色の色濃い昭和十三年。中国山地の山並みに囲まれた世帯数二、三十の日暮谷の村で生まれ育った十八歳の犬丸継男は、村一番の秀才として村人の尊敬と期待を集めていたが、自分では、早く戦場に出て国のために戦いたいと願っていた。駐在所まで片道三十分という辺鄙なこの村は、近親婚が多く、ほとんどの者が親類関係にある。継男はたった一人の肉親、祖母のはんをおいて師範学校へ行くことはできず、独学で検定試験を受け、教師になろうと考えていた。十八歳にもなると、継男にも村の人間関係の裏側が分るようになり、ある夜、散歩をしていると、人妻のえり子と村の有力者、赤木勇造が絡み合っているのを目撃する。赤木は夜這いの取り締りを提案した張本人で、彼のことを汚いと思うが、同時に自身の性のうずきも強く感じるのだった。数日後、継男はえり子の所を訪ね、赤木のことを話すと、彼女は簡単に彼に体を開いた。また継男は、はんに金を借りに来るミオコとも関係を持つが、そんな性の世界に溺れず、彼は幼なじみのやすよに思いを寄せていた。そんな継男は兵役検査を受けるが、なんと、結核と診断されてしまう。これまで秀才と継男をもてはやしていた村人もコロッと態度を変え、彼を避けるようになる。そんな中で、和子が親切にしてくれたが、それは継男の結核を知らなかっただけで、病気を知ると、他の村人以上に冷たくなった。そして、心のよりどころだったやすよも嫁に行くことになった。継男は腹いせに和子に夜這いをかけるが、間違えて母の常代の布団に入ってしまい、母娘二人からなじられる。退散する継男は帰路、村の男たちが、他処者の坂本を袋叩きにして殺すのを目撃し、翌日、駐在に報せようとするが、村人の無言の威圧で口に出せない。その頃、やすよが離縁されて家に戻ってきた。継男と付き合っていたのが原因という。二人は風呂場で抱き合った。そして、汚れきった村を戦場にしようと決意する。一度は銃や日本刀を押収された継男だが、大阪に出て再び武器を調達すると、やすよに「村を戦場にします、その日は村に近寄らないで下さい……」と手紙を書いた。その日、村の送電線を切ると、丑三つの刻も近い頃、学生服にゲートルを巻き、武装した継男は、「犬丸継男君、万歳!」と叫ぶと、三十人に及ぶ大量殺戮に出発した。

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映画レビュー

5.0実話に基づく映画。夜中に村を狂気が走る!

2024年5月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

興奮

先日、雑誌を見ていたら「津山事件」が特集されていた。
新しい映画の宣伝かなって思って、チラッと見たら、 「八つ墓村」のモデルになった事件。そして、この事件を映画化したのが本作。確かにクライマックスはビジュアルからそのまま八つ墓村だったのを覚えている。

劇場公開時は、よく知らなかったが、かなり経過してからから、何かの雑誌で見かけて興味をもち、レンタルビデオ屋で見つけて初めての視聴となった。

その時にジャケットを見てびっくり。あれ、これ田中美佐子!若~~~!って感じ。
自分が認識している中で、田中美佐子さんを初めて意識したのはとんねるずと一緒にやっていたドラマでした。なんて可愛い女優さんなんだろうってホンっと一目惚れって感じだった。
その田中美佐子さんが、なんと作品中でヌードになっていたのに二度びっくり。あのドラマで魅入った可愛らしい女性がヌードになっていた・・・。 非常に幼さの残るヌードではあったが、実にいい脱ぎっぷりだった。後で知ったのだが、「ダイヤモンドは傷つかない」という彼女のデビュー作で、すでにヌードは披露済みだったみたい。もちろん、非常に綺麗な肢体で大満足したのが、第一印象でした。

その後も何度か見ているこの作品ですが、今回、改めて感じたのが古尾谷さんの鬼気迫る迫力ですね。
村のなかで神童ともてはやされていた青年が、結核を患ったことから村八分にされる。エスカレートしていく村人の態度に、自身の精神も追い詰められていく。
閉鎖した村の中では、村に害をなすものと判断されれば、殺人が行われることもあった。
御国のために尽くすことが美徳とされていた時代、戦場に出向くことが誇りとされた時代に、兵士になれなかった男が、危機感を感じて、自らの村を戦場と認識した。

閉鎖的な村では、夜ばいが日常茶飯事で行われている。(往年の池波志乃さんや五月みどりさんの魅力的な肢体のオンパレード! )
後半は猟奇殺人による死体のオンパレード。
ホラー大好きな自分にとって、エログロ満載で、大変楽しませてもらってる1本です。

かなり昔の作品なので、出ている役者さんたちの若々しい姿のギャップも別の意味で楽しめる。

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ratien

4.0丑三つの俳諧者、蝋燭はちまきの村に今、何思う。(またポエマーになってるし・笑)継やん、かわいそう(´;ω;`)

2024年5月2日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

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野球十兵衛、

4.0昭和も大変だった史紐解き鑑賞その一

2024年3月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

私はナマステ王国に居るのでよく分からないけど、最近日本では某ドラマの影響で昭和が見直されてるらしい。
恥ずかしながら私も昭和生まれで11PMやらトゥナイトを親に隠れて観ていたクチだ。
だけど、昭和はもうそれはそれは大変な時代やったんやでー、と言われているけど私も戦後数十年世代なので知ったことではない。
なので、映画で昭和を振り返ってみよう企画第一弾。

ざっくり言うと、秀才で出来る子の呼び声高いツギオちゃんが病気のために兵役免除されちゃって、村八分にされたからはっちゃけたゃったお話。

序盤はツギオちゃん性の目覚めの巻。ずーとるび新井から良からぬことを聞かされたツギオちゃん、夜中にウロウロするとなんかあるぜ、と言われて歩いてみるとなんだか切なげな声が。
窓から家の中を覗くと池波志乃と夏八木勲がぶつかり稽古の真っ最中。すげぇ、さすが東の横綱。

別の日に東の横綱志乃姐さんに誘惑されるも手もなく捻られたツギオちゃんを待ち受けていたのは、西の横綱五月みどり姐さんだった。
志乃姐さんが肉食系とするとみどり姐さんは癒し系、まあどっちもエロい。

前半はひたすらエロエロパート。しかしそんなモテモテ?のツギオちゃんを待っていたのは兵役の前の徴兵検査で発覚した結核の病。出征もできず村でブラブラしているツギオちゃんの相手をしてくれる女はおらず、大好きな夜のイベントもフラれ続き。それどころかすっかり厄介者扱いで、今までのチヤホヤぶりを考えれば、鬱屈した思いが渦巻くのはやむを得ない。

しかも、最後の砦だった田中美佐子演じるやすよちゃんまで二度も結婚話が出てしまい、もう行くとこなし。
遂に決行してしまう。まあ短絡的ではある。

コマンドーのシュワルツェネッガーか、はたまたランボーのスタローンかと思う戦闘前の準備シーン。そんなマッチョな二人に比べて痛々しい程のガリガリガリクソンなツギオちゃん。白いふんどし姿も眩しく、万全の準備をしていざ出発!

そこからは多分20分もかからんうちにあっちでバンバン、こっちでザクザクと殺りまくる。ただ、思ったほどの激しさ、スプラッター耐性アリの人には余裕なレベルの殺戮シーン。ただ、殺しきれんかったりとどめを刺せんかったりと、詰めの甘さもあったりするところが逆に生々しい。

まあご存じの通りこのお話は実際の事件を比較的忠実に描いた映画なんだけど、戦前、戦時中の昭和のド田舎なんてもう魔境みたいなもんで、子供の売り買いだったり口減らしに老人捨ててきたりとほとんど無法状態。それが江戸時代でも明治でもなく、自分の生まれた昭和だって言うんだから、全く恐ろしい時代だったものである。

ちなみにこの映画も昭和後期。昭和の映画なんぞもうゴリゴリエロいシーンが出てくるし、裸はおろかおっ牌出まくりだし女優さんも普通に脱いでる。この映画でも、両横綱はもちろん田中美佐子の初々おっ牌まで出てきて、なに!コメットさんまで出てきたぞ。まさかのコメット牌も…ないんかーいと叫んでしまった。

あ、映画はそこそこでしたよ。プラス志乃姐さん&みどり姐さんの模範演技でプラス0.5、田中美佐子の体当たりで更にプラス1、日和ったコメットさんにマイナス0.5で星4つ。

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ハルクマール

4.5リアル【津山30人事件】、恐ろしくて良い。時系列も筑波さんの本そのもの、リアル。八つ墓村は邪道❗️

2023年2月13日
iPhoneアプリから投稿

これ、エロ映画ではないよ。エロは感じない。

田舎の【夜這い】の慣習

古尾谷雅人がその後の運命も含めリアルに魅せる。

リアル、津山事件【ただし当時は別の村】

原因はねぇ
中途半端に保護者のお婆さん👵にお金があって
教育に理解がゼロだったこと。

こういう話で【秀才】というのはたいてい盛っていて
【普通よりは勉強できた】ということだろう。当時の背景でも
本当にトップレベルの秀才であれば
クラス担任が、津山中学、滑り止めに関西「カンゼイ」中学受験
お婆さん説得で陥落してただろう。田中角栄ほど貧乏ではないから

ネットスマホファミコンはおろかテレビ📺📼ビデオ、民放ラジオもない時代
カラフルな雑誌エロ本、マンガ雑誌もない時代

ソリャ、農作業も行わず、屋根裏部屋にこもればろくなこと考えない
兵隊不合格も衝撃だったろうが
元祖引きこもり、学校にも行かず が 重大事件につながったのは必然。

あと、70年くらい遅く生まれていれば、普通の人だったのに
時代を先取りしすぎ

作品は事件そのまんま、だからオドロオドロシクて面白い。

エロは殆ど感じない。というか事件の前にエロなどどうでもよろし

テンポ良し、夜の村を疾走が恐ろしくて、恐ろしくて夢に出そう。

そんな中、睦雄の幼馴染、田中美佐子の若い頃が超可愛ゆくて、掃き溜めに鶴なのだった。
田中美佐子カワユイなあ。

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満塁本塁打
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