草原の野獣

劇場公開日:

解説

「拳銃を撃つな」のフィル・カールソン監督がフランク・S・ニュージェントのシナリオを得て作りあげた西部劇。リック・ハードマンの原作による、大牧場主と、その息子の対立を中心にした悲劇的結末をもった物語で、「決断の3時10分」のヴァン・ヘフリンと「果てしなき決斗」のタブ・ハンターが父子に扮して顔を合わせている。撮影は「夜鷹のジョニー」のチャールズ・ロートン・ジュニア。音楽はジョージ・ダニング。タブ・ハンターが主題歌を1曲歌っている。他の出演者はキャスリン・グラント、ジェームズ・ダーレン等。製作フレッド・コールマー。

1958年製作/アメリカ
原題:Gunman's Walk
配給:コロムビア
劇場公開日:1958年7月15日

ストーリー

ワイオミング平原の大牧場主リー・ハッケット(ヴァン・ヘフリン)には2人の息子があった。反抗的で乱暴なエド(タブ・ハンター)と、臆病な、気の弱いダーヴェイ(ジェームズ・ダーレン)の兄弟である。父親は2人を自分が理想とする勇敢な男に仕立上げようとしていたが、エドのみが彼の理想に近い男だった。父は家畜集めと、シャイアンにこれを追って移動するため、3人の男を傭った。その中の1人ポール・チュオード(B・コンヴィ)には美しい妹クリー(K・グランド)がいた。兄のエドが彼女に云い寄ったが、彼女は大人しい弟のダーヴェイに心をひかれたようだった。家畜集めが始まりポールは家畜管理人としての手腕を見せてよく働いた。エドにはこれが気に入らなかった。野性の雌馬にロープをかけて捕まえることを競走したとき、エドはポールを崖から墜落させて殺した。しかしポールの死の真相を近くから他の2人の傭われた男たちが目撃していた。エドや父の一行がジャクソン・シティについた時彼らはポール殺害犯としてエドを告発した。この時、エドとその父に取り入ろうとして、馬商人のジェンセンが、ポールの事故死の現場を見たと証言したので、エドは釈放された。しかし後に証言の報酬を求めたことから、エドはジェンセンに重傷を負わせ、またシェリフといざこざを起こして牢に入れられた。父親の陰にまわっての釈放工作も意にとめず、エドは脱獄して追われる身となった。父親のリーは、シェリフより先に捕まえて、何とか彼を救おうとしたが、エドはこれをはねつけた。追いつめられた息子が、もう逃れようのないことを知ったリーは、我が子と銃をもって対決し、彼を倒した。父のミサの言葉を聞きながら、エドは死んだ。リーは、ダーヴィとクリーにこのことを告げるために、1人歩みを町の方に向けた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5息子たちとの葛藤

2022年7月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

バンヘフリン扮するリーハケットは、息子たちに厳しく指導していたが手を焼いていた。 弟は先住民の娘と恋仲になり兄は殺人事件を起こした。父親を超えようとするあまり行き過ぎた息子たち。さて父親としての判断は?
父親として最悪の息子たちとの葛藤。育て方が間違っていたかと悩みもすれど、偉大な父親を持つ息子たちにしてみればやはり不幸なのかもしれないね。

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重

4.0誰かリメイク作ってくれ

2022年7月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

1958年にこれだけ多角度から見れる西部劇を作っていた事に驚き。銃を玩具の様に扱う兄とネイティヴアメリカンに偏見持たず丸腰の弟。父親は開拓者であり牧場主という昔気質の立場からかマッチョであり、兄弟に自分を手本にしてほしいと男手だけで育てている。僕は年齢からも父親の葛藤は痛いほど理解出来るが、年代違えばまた違った感想も出てくるだろう。
そしてこれって現代アメリカの銃に対する社会問題そのまま。もっと一人一人に焦点を当てて、3時間くらいの作品で見てみたい。 因みにラストはじわ〜っとくる。

(95年以降モンタナアイダホワイオミング辺りを何度かドライブ旅行したが、馬に乗り牧童を生業とし銃も使う人達を目にした時は、まるで映画の世界だと感動したものだ)

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MatthewNIPPON

4.0西部を生きる父と息子の決闘

2019年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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mitty

3.5現代でも通用するほどの脚本

2015年4月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

総合70点 ( ストーリー:80点|キャスト:70点|演出:65点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )

 西部劇といえば、町を牛耳る悪の牧場主がいて、主人公がそれと対決するというのが定番。だがこの物語は、なんと町を牛耳る悪の牧場主側が主人公で、それが脇役である正しい者たちと新しい時代の秩序に対決を挑まれる。それもただ銃で撃ち合いをするというのではなくて、20世紀を迎える直前の社会で、法での対決であったり生き方での対立であったりする。その逆転の発想が独特でまず面白かった。

 牧場の父親は、法の支配など無い時代に力だけを頼りに大地を切り開き、先住民や侵入者と戦い、町を作りあげたという自負がある。だから、力に頼り思うとおりに強引に指導力を発揮する。先住民に嫌悪感を持ち、多少荒々しくても自分の力で自分のやりたいことを成し遂げる。それで全てを成功させて今の地位を築いたのだから、例え力よりも秩序で物事を治める時代がやってきたとしても、今さら急に考え方は変えられない。
 そんな男の息子達は、一人は父親そっくりで昔ながらの力で自分の望みを強引に手に入れようとし、もう一人は新しい時代の価値観をもって生きようとする。そのような世代格差と価値観の差が露わになっていく過程が、厳しくもありつつもアメリカの歴史の移り変わりを映し出している。1958年にこれだけの話を描けたのはたいしたものだと思う。

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Cape God
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