劇場公開日 1948年5月7日

偉大なるXのレビュー・感想・評価

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4.0未だ見ぬヒーロー

2019年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 戦後日本の世の中の乱れを立て直し理想の社会を築く偉大なる英雄Xがいつかきっと現れるという内容の小説。アパートの管理人の娘・千代(津島)は原稿用紙に大きな字を書く九木を心配して母(杉村春子)に相談する。日頃から突拍子もないことを言い出す九木のことだから、てんで相手にしないのだ。

 悪を無くす平和の世を作るという街頭演説を始めてから、次第に世間の注目を浴びるようになり、ラジオ局、新聞と、架空の“偉大なるX”の理想と九木本人、それに千代までが書きたてられた。ところが、新たに世間に登場してきたのが“怪盗X”。とうとう怪盗Xは九木の前に現れ、「偉大なるXが実在するなら合わせてくれ」と挑発する。返答に困った九木は講演会を開くからとその場を後にするのだ・・・しかして、架空の存在であるXの講演会を計画するも、警察沙汰となり、精神科医の分析を受けることにまでなった。とりあえず留置所へ・・・ただ、警察署長(笠智衆)が彼に同情し、遠い目で見ていた。

 妄想狂、きちがいとバカにされ続けた九木。講演会には怪盗Xも来るので、警察が周囲を固めている。同志たちも本当に偉大なるXは来るのかと心配していた。観客も大勢集まっていた。切羽詰まったその瞬間、会場から大きな拍手が!短い演説ではあったが、覆面をした偉大なるXの演説が始まった。署長がXであることは間違いなかったが、一人ひとりがXの理想を持たねばならないと結論づけた。また、怪盗X(安部徹)は捕えられた。

 1955年が日本映画で初のヌードと言われているが、この1948年の映画でしっかりとストリッパーがヌードで踊っていた。おっぱいも腋毛もしっかり見せてたぞ!ちょっとビックリ。

 テーマとしてはヒーローの存在も考えられるが、この時期にはまだ『スーパージャイアンツ』も『月光仮面』も『ナショナルキッド』も存在していないのだ。まぁ、サイボーグでもロボットでもないけど、世の中の人間全てが悪を無くそうと努力すればいいのだから、力のない者であってもいいのだ。なんだかスッキリした。笠智衆もやるな~

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kossy