劇場公開日 2019年11月29日

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「あの雪山のホテルへと向かう恍惚のカウントダウンが再び」ドクター・スリープ MPさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5あの雪山のホテルへと向かう恍惚のカウントダウンが再び

2019年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

かつて、あの雪山のホテルから母親と共に命からがら逃げ出した少年、ダニーは、今もトラウマを抱えて荒んだ生活をしていた。。。。。そこから始まる映画は、ニューハンプシャーの老人ホームで働き、人を苦しませずに死なせる力を持つことから、"ドクター・スリープ"と呼ばれているダニーが、またも、あの忌まわしい過去へと引きずられていくプロセスを描く。彼をそうさせるのは、シャイニン グ=超能力のある子供たちから生気を吸い取り、生き長らえようとする半不死の一族"ザ・トゥルー・ノット"との対決を余儀無くされるからだ。プロットを書くとそうなる。ファン待望の続編は、鬼才キューブリックが観客に想像を促してイメージの中で怖がらせる前作とは全く異なり、終始、目で魅せる娯楽ホラー映画の乗り。往々にしてその場合、恐怖の沸点が点在して次第に飽きてくるものだが、さにあらず。ホラー界の新星、マイク・フラナガンは巨匠のレガシーを元手に、全編見せ場のハイテンションを見事にキープしている。レガシーの最たるものは、前作と同じ電子音楽が鳴り響く中、ダニーが雪の山道を魔のホテルへと向かう場面。それは、「シャイニング」を知る、知らないに関わらず、全ての観客にクライマックスが訪れたことを知らしめる、恍惚のカウントダウンなのだ。

清藤秀人