劇場公開日 2012年8月18日

「全て自分で管理して支配したい人=男」籠の中の乙女 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5全て自分で管理して支配したい人=男

2024年4月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

怖い

「ロッキー」と「ジョーズ」と歌 "Fly me to the moon"(父親による正しくない訳詩つき)にこの映画の中で出会えてほっとした程、親子間も夫婦間もきょうだい間も変てこな家庭の話だった。母親がカセットテープを通して子ども達に教える語彙レッスンが不思議。対象となる語は、新しいもの、家にいては見えなくて出会えない事物に限られている、海とかゾンビとか高速道路とか。家では普通に話していたし基本語彙は正しく学習している。飛行機が今の東京都内みたいに頻繁に上空を飛んでいる。飛行機の音も聞こえるし機体も庭から見えるし、飛行機オモチャを塀の外に投げる遊びもしてるから、飛行機は飛行機として知っている。

もう大人の体なのに長男も長女も次女も子どもみたい。次女が一番まともでしっかりしていて長男が一番幼くて変。長男の部屋の壁は真っ白で絵もポスターも貼ってない。その代わりベッドのヘッドボードにベタベタ貼られた小さいシールとそれを指差しして確認する長男が不気味。ご褒美に父親から貰うんだけどこんなのをセックスする年齢の男が喜ぶなんて!

外の人間は外の世界を持ち込んで来るからと、クリスティーナはクビ、息子には今度はあまり若くない女性を、と言いつつ、外部からはダメだと言ってたから、結局二人の娘のどちらかを息子に選ばせることにした父親。バスルームにいたあの二人は長男の妹達に見えましたが間違っている?選ばれたのは長女で母親が彼女の化粧と髪をとかす手伝いしてたように思った。

両親の結婚記念日で踊る姉妹。妹は早々に疲れて退場するが姉は一人で最後まで踊りきる!暗黒舞踏か体ぐにゃぐにゃ体操か凄くシュールで兄のギターのメロディーと無関係。このてんでばらばら感は笑えた。

「ロッキー」見たから鉄アレイも平気な長女、血だらけになりながら犬歯を無事取ったがその後が問題!パパに依存していてはだめだよ。パパが言ってた「家から出るには車が必要」に縛られていた。家から出るというのは本当に自分一人で誰の力も助けも借りずに自分の足で出ることなんだよ、と言ってあげたかった。

父親は大きな工場の社長っぽいが何か危ないヤバい物を作ってるんではないか?と思った。その意味ではピュー主演の映画「ドント・ウォーリー・ダーリン」を思いだした。家にいる主婦の妻達はなあんにも知らされず籠の鳥状態。他人依存症と血だらけシーンに関してはギリシャの映画「PITY ある不幸な男」を思い出した。調べたらなんと!「PITY」もこの映画も「ロブスター」も「聖なる鹿・・・」も脚本を手がけているのはエフティミス・フィリップ!ランティモス監督も変だけど脚本家フィリップも相当変わってる!ギリシャの映画、面白い!

talisman
CBさんのコメント
2024年4月14日

ホント、変な映画でしたよね
監督、脚本家、注目です。
相当エネルギーある時しか、観る自信がないですが。

CB