羊たちの沈黙

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

FBIアカデミーの優秀な訓練生クラリスは連続誘拐殺人事件の捜査スタッフに組み込まれ、犯罪者として収監されているレクター博士と面会する。それは、天才的な精神科医でありながら、自らの患者を次々と死に追いやったレクターこそ事件の謎を解く鍵になると見込んでのことだった。レクターはクラリスに興味を示し、捜査の手がかりを与える。ふたりが次第に心を通わせていく一方、新たな誘拐事件が。そしてレクターは脱獄を図り……。ジョナサン・デミ監督の代表作となったサイコサスペンス。1991年6月に日本公開。2001年3月にはニュープリント版が公開された。

1991年製作/118分/PG12/アメリカ
原題:The Silence of the Lambs
劇場公開日:2001年3月17日

その他の公開日:1991年6月14日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第15回 日本アカデミー賞(1992年)

ノミネート

外国作品賞  

第64回 アカデミー賞(1992年)

受賞

作品賞  
監督賞 ジョナサン・デミ
主演男優賞 アンソニー・ホプキンス
主演女優賞 ジョディ・フォスター
脚色賞 テッド・タリー

ノミネート

編集賞 クレイグ・マッケイ
音響賞  

第49回 ゴールデングローブ賞(1992年)

受賞

最優秀主演女優賞(ドラマ) ジョディ・フォスター

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) アンソニー・ホプキンス
最優秀監督賞 ジョナサン・デミ
最優秀脚本賞 テッド・タリー
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写真:AFLO

映画レビュー

5.0考えれば考えるほど複雑な構造が見えてくる傑作。

2024年5月12日
PCから投稿

怖い

興奮

知的

1991年のアメリカ映画のトップ3は、
1.ターミネーター2
2.ロビン・フッド
3.美女と野獣
といった、ヒーローとロマンス。映画に夢や希望が詰まっていた時代と言ってもいい。「羊たちの沈黙 」は、ベスト3には入らなかったが、上位につけていた。ただし、ターミネーターやロビン・フッドのような「強いアメリカ」のイメージではないし、ジョディ・フォスターは美女だから、ロマンスの要素はあるにしても、レクター博士は、本物の野獣といってもいいほどに凶暴だ。

レビューで「傑作」と称されることの多い本作。
初見は高校時代、大好きなジョディ・フォスターが出ていたので観た。
当時も面白いとは思ったが、ここまですごい映画だとは気づかなかった。
観る側の知識や経験、思考力が、映画の価値を変える。
当時の自分は、なにも考えていない、ただのジョディ・ファンであった。

FBI アカデミーの実習生であるクラリスは、上司のクロフォードから、バッファロー・ビル事件解明のために、囚人のハンニバル・レクターから話を聞いてくるようにと指示を受ける。クロフォードは、レクターはなにも話さない可能性もあると考えていた。クラリスの有能さを認めたうえでの「お使い」のつもりだったのだ。
実際にレクターもクラリスの有能さは認めたものの、事件への協力は拒否して学校に帰るように突き放す。がっかりして帰ろうとしたクラリスだが、そこでトラブルが発生し、レクターはヒントをくれる。そこから事件が動き出す。

バッファロー・ビル事件解決のために、プロファイリングという方法が使われる。プロファイリングとは情報を集めて、そこから犯人逮捕に向けていろいろなことを推理する手法だ。
本作では、事件解決以外にも解決しなければいけない問題がある。
それはクラリスのトラウマだ。
レクターは、クラリスがなんらかのトラウマを抱えていることに早い段階で気づく。
そして、信頼関係が頂点に達したとき、彼女は、子どものころから今にいたるまで、ずっと悪夢を見ていることを打ち明ける。
プロファイリング(推理)ではなく、対話による本質の探究だ。

警察官であった父親が亡くなり、親戚の牧場に預けられたクラリスは、そこで子羊たちが屠殺されているところを見てしまう。逃がそうとするが、逃げようとしない。仕方なく、一頭を抱えて牧場から逃げ出すが、すぐに警察に保護されて、クラリスは施設に入れられ、子羊は殺された。
それ以来、明け方に目が覚めて、子羊の鳴き声が聞こえている。
レクターは尋ねる。
「バッファロー・ビル事件の被害者を助けることができたら、子羊は泣くのをやめると思っているのか」

クラリスは賢いが、ひとりの女性だ。警察組織は男社会で、どこにいっても好奇の目で見られたり、あからさまなセクハラを受けたりする。
そして、犯人は女性を狙って殺していた。性的倒錯者だとも言われている。しかし、実際には特定の女性になりたかったのだ。

神話における冒険譚では、使命を与えられた勇者に助言をする老人が現れる。その役割を担うのがレクターだ。レクターは賢いが、殺人鬼というところが斬新だ。

製作費29億円
興行収入420億円。
低予算というほどではないが、ハリウッド映画としては製作費はかなりおさえているほうだと思う。
アイデアがすばらしい作品を生み出す。

アイデアついでに補足しておく。
移送先でレクターが聴いていたグールドの「ゴールドベルグ」は1981年版だろう。グールドという天才的なピアニストに自身を重ねていたのだろうか。
なお、この時レクターは「夕食」としてラムステーキを希望していた。クラリスが子羊を助けようとした(だから被害者を助ける)というスタンスに対し、レクターは被害者を食べるという暗示、もしくはブラックユーモア。

本作はフィルムのざらついた感じや色合いがとても好きだ。
これが自分にとっては思春期の色なのだ。
思春期に聞いた音楽は一生好きでいるというデータがあった。
映画にも似たような効果があると思う。
すくなくとも自分にとっては「羊たちの沈黙」がその映画だった。

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あふろざむらい

5.0心の内面を覗き覗かれているよう

2024年5月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

超一流の悪役、アンソニーホプキンス演じるハンニバルレクターの登場作。

この映画、登場人物一人一人を真正面から映しているシーンが多いので、その人物の表情がダイレクトに伝わってくる。バッファロービルや誘拐されたキャサリンの怒り、泣き叫ぶ表情を真正面から写すシーンもあり、その人の内面を覗き見している気分になる。

レクター博士のドアップのシーンがあるが、目線は真っ直ぐ見つめたまま徐々に前へ詰めてきて、非常に怖かった。クラリスに話しかけているのだが、ともすればこちらの内面も覗かれているよう。
牢獄での初登場シーンも、姿勢よく立っている姿は本当にドキッとした。

とにかくレクター博士を中心にキャストの演技が素晴らしいですね。終盤クラリスの怯えようは緊迫感が出ていてとてもよかった。

サスペンスとしても見応えがありました。結局バッファロービルがなぜ皮を剥ぐのか?明確な答えは出ていませんでしたね。とはいえ、テンポ良く前に進んでいって飽きることはなかった。
秀作!

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こたー

5.0惹かれ合い焦がれるかの二人。その哀切。

2024年4月26日
iPhoneアプリから投稿

何度観たか。
エッジの効くシャープな構成。
冒頭ガラス牢の対話の濃密さ、
中盤の転調アクションの面白さ。
惹かれ合い焦がれるかの二人の哀切極まる幕引き、
そして不穏な余韻を醸す冷んやり蒸し暑いエンドロール。
主演女優ピークの美しさが今も映る映画的悦楽。
また何度も観る。

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きねまっきい

4.5ハンニバルおじいちゃん可愛い

2024年4月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ハンニバルおじいちゃんが、紳士で可愛いけどしっかり変態でとても良い!!
対話のときの緊張感にドキドキ!
脱走劇にはもうアッパレ!
逆に、ラスボスの存在が薄れてしまうくらいだったし、最後の戦闘は結構アッサリだったね!

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とも
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